リジリエンス思考による精神障害者生活支援モデルの開発的研究―国際連携研究を基に―

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K03941
• Research Institution: Hokusei Gakuen University
• Principal Investigator: 中村 和彦 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (20330673)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 秋山 薊二 関東学院大学, 文学部, 教授 (50133575)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: リジリエンス思考 / ソーシャルワーク実践理論 / 精神障害者生活支援

Outline of Annual Research Achievements

研究開始年度である平成27年度の到達点を、リジリエンス思考によるソーシャルワーク理論体系化の推進と精神障害者生活支援実践モデル開発のための準備年と位置付け、以下にある内容・方法で研究を実施した。
（１）平成27年6月16日～19日、カナダ国・ダルハウジー大学（ハリファックス市）に附属するリジリエンス研究センター（RRC)が主催する国際会議「Pathway to Resilience　Ⅲ」に研究分担者とともに出席し、リジリエンスに関する最新知見を獲得した。本国際会議には46カ国から540人が参加しており、中国、韓国、カナダ、アイルランド等の研究者との間で研究推進のためのネットワークを構築することができた。また海外研究連携者から今後の研究に関して指導を受けた。
（２）「一般社団法人レジリエンス協会」の定例会に出席し、他分野・他領域のリジリエンス研究者、一般企業等でレジリエンスを基盤にした取組みを実践している方々と意見交換等を行い、今後の研究推進ネットワークを構築した。
（３）内外のリジリエンス関係文献の渉猟を積極的に行い（その数は優に百を超えた）、文献リストを作成しつつ、理論的整理を行った。
（４）研究者が以前に構築した精神障害者地域生活支援にかかる「コンピュータ支援ツール」の見直しを行い、リジリエンス思考に基づいた改訂版作成に向けた検討を行った。
（５）論文「ソーシャルワーク実践理論におけるリジリエンス概念への着目」の執筆に着手した（次年度、上半期に完成予定）。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究開始年として計画した内容について、研究推進の基盤となる文献の渉猟、文献リスト作成、基盤理論の検討、国際会議等の参加による研究ネットワークの構築等、概ね順調に進めることができた。
これらを踏まえ、理論的基盤となる論文の執筆に着手したが完成までには至らなかった。また、精神障害者生活支援モデルの開発に向けた検討については、基本的事項の検討を実施することができたものの具体的展開までには至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

研究の目的に照らし、4カ年にわたる研究計画の大幅な見直しを行うことなく研究を遂行できると考えている。
その上で平成28年度については概ね1年間、カナダ国ハリファックス市に所在するダルハウジー大学及び附属するリジリエンス研究センターにおいて在外研究を実施することとなった。そのため研究課題について、現地でのヒアリング調査等を通じ、より具体的に深化させ成果があげられるものと考えている。
他方、当初、平成28年度実施計画として立案していた精神障害当事者へのインタビュー調査及び事例検討会の開催等については、平成29年度実施とし研究実施計画を変更する必要がある。

Causes of Carryover

82,087円の次年度使用額が生じた主な理由は、第一に、研究分担者において開設しているリジリエンス研究にかかるホームページの更新が年度内に実施できなかったことがあり、第二に年度内に購入予定であった資料・図書の発行が遅れ、購入できなかった点にある。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、早急にホームページの更新を実施するとともに、引き続き最新資料の収集、また、実態調査にかかる経費、調査謝礼等として、適切に執行したい。