2015 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の就労はリカバリーを促進するか-就労者への調査による縦断的研究-
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15K03950
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
大山 勉 東京福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (40554465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 正俊 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (80350693)
石田 賢哉 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (50457743)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リカバリー / 精神障害者の就労 / 就労移行支援事業 / 自己効力感 |
Outline of Annual Research Achievements |
「精神障害者の就労はリカバリーを促進するか-就労者への調査による縦断的研究-」と題する本研究は、平成27年度から30年度までの4年間の研究である。その初年度として平成27年度は、研究対象となる就労を開始する全国の精神障害者の方にどのような方法で調査協力依頼をするかをはじめの検討事項とし、並行して調査内容の検討を行った。研究デザインとしては当初の研究計画通り縦断的研究として、就労開始時、就労開始から6か月後、就労開始から12か月後の、計3回同一対象者にリカバリーに関する質問調査を依頼し、その変化を分析することとした。 調査協力依頼については、本研究の就労の定義が雇用契約のある一般就労とするため、毎年新規就労者がいる可能性のある、障害者総合支援法に基づく「就労移行支援事業所」および障害者雇用促進法に基づく「障害者就業・生活支援センター」に調査協力依頼文書を郵送で送付することとした。送付した事業所の数は合わせて2,700か所以上となった。 質問調査の内容については、主たる質問紙は「リカバリー評価尺度」と「一般性自己効力感」の2種類で、当初の計画通りとした。調査協力者の属性や新たに開始した就労の状況については、基本的属性に加え、学歴、職歴、病歴、現在の職場の状況等、リカバリーに影響を与える可能性のある項目を盛り込んだ。 平成27年10月までに上記の作業を終え事業所に調査依頼を発送したところ、平成28年3月末までに、数十通のアンケート回答が返送されてきている。現在は、「今後調査対象者が出る可能性がある」と返信のあった事業所に、リマインドの連絡をすると同時に、1回目の回答があった協力者に第2回目の調査票発送の準備をしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者への調査依頼の方法を、全国の就労移行支援事業所と障害者就業・生活支援センターに送付することにしたため、そのリストの作成や発送業務に予定以上の時間と労力をさくこととなった。郵送のための切手代や業務委託の費用は当初の予定を大きく上回ることとなったが、予定していた調査依頼文書発送時期までには間に合わせることができた。 研究倫理については、研究応募時からこのことに配慮した研究デザインで進めることとしていたが、調査票、インフォームドコンセントに関する資料、研究参加同意書の案が出来上がった時点で、主任研究者の所属する東京福祉大学の研究倫理審査会に審査を申請し、承認を得ることができている。 調査協力を全国の事業所に広げたことにより、100人を超える協力者がいることを期待していたが、数十人と予想よりもやや少ない数となっている。しかしながら、研究全体の進行としては、おおむね順調に進呈している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度については、2回目の調査票発送が今年度最初の作業となる。調査協力者の数十名がそれぞれ就労開始日が異なるため、厳密な2回目発送のタイムスケジュール管理が必要となる。 また、送付された調査票のデータ入力も継続して行う必要がある。1回目調査のデータ入力に加え2回目のデータ入力も始まり、データはそろっていない状況であっても集計や分析を行い、先行研究との比較なども開始できる。平成28年度末から次年度には、本研究の第1報として、学会発表を行う予定とする。 今後、新たな調査協力者の増加が少ない場合には、調査依頼を医療機関に広げるなどの対応が必要となる可能性もある。
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Causes of Carryover |
研究計画当初の調査依頼の方法を変更し、全国2,700を超える事業所に郵送して依頼することにしたため、送付用切手の代金と業務委託の謝礼金額が大きく増加した。このことにより、平成28年度の予算を前倒し使用の申請を行ったが、再度予算不足とならないために、その請求金額を余裕をもって申請したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、平成27年度の繰越金と平成28年度の予算の枠内で対応する。今後の支出については、備品の購入や出張旅費を抑えることで配当された予算額で対応可能であると考えている。
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