2015 Fiscal Year Research-status Report
大規模自然災害に備えた実践的DWATに関する試行的研究
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15K03956
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
須田 仁 聖徳大学, 心理・福祉学部, 准教授 (40369400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 慶子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (00128977)
西 智子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (70383445)
川口 一美 聖徳大学, 心理・福祉学部, 准教授 (00352675)
小原 貴恵子 聖徳大学短期大学部, 保育科, 講師 (40736641)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DWAT / 福祉専門職 / 災害ソーシャルワーク / 福祉避難所 / BCP |
Outline of Annual Research Achievements |
7月26日~27日に屋久島にて、口永良部島新岳噴火に伴う全島避難された住民に対するインタビュー及び屋久島町長に対するインタビューを行った。避難所では社会福祉士などの福祉専門職による支援は僅かであり、要介護認定を受けている高齢者に対して屋久島町地域包括支援センターの職員がケアを行っているのみであり、福祉専門職による支援の重要性が把握できた。 9月24日~25日に開催された第34回日本自然災害学会学術講演会へ出席、「DWAT構築によってもたらされる発災直後からの福祉専門職による生活支援の方法」というテーマで研究発表を行った。また、最新の研究動向を把握した。 11月28日には千葉県社会福祉士会、千葉県精神保健福祉士協会、千葉県医療社会事業協会合同の研修会において「地域で生きる」を支援する~災害支援のソーシャルワークを考える~」というテーマで講演を行った。その中ではソーシャルワーカーとして災害時に業務として派遣する希望はあるが、何を行えばよいかわからないといった、意見を聴取した。また自らの職場が災害に見舞われた場合、外部の支援者をどのように受け入れるかのスキームが用意されていないことも分かった。 2月28日~29日には第日本集団災害医学会BHELPプロバイダーコースを受講し、ヘルスケアチームの活動について調査した。27年度の研究の成果としては①災害地域での福祉専門職チームの設置は全国的に進んでいないこと、②福祉避難所としての機能を持つ福祉施設への支援のスキームが確立していないこと、③DWATは被災した福祉施設や介護事業者等に対して派遣され支援する必要があることが仮説としてあげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の調査によってDWATの必要性が現れてきた。特に福祉避難所への支援の必要がある。地域防災計画では、老人福祉センターや特別養護老人ホームを福祉避難所として指定、避難所に避難することができない災害弱者(在宅で暮らす要介護高齢者や障害者など)を受け入れることになっている。しかしながら避難所から福祉避難所へ移送する判断をする専門職の存在が曖昧である。また福祉避難所が被災することも想定され、外部からの人的支援が必要なことも分かった。この点においてDWATの必要性があると思われる。平成28年度では、上記の点をさらに詳細に調査・分析することでDWATの養成プログラム作成の方向性が明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は①福祉避難所、特に指定を受けている福祉施設においてBCP(事業継続計画)の中に外部の支援者受け入れがどのくらい用意されているかを千葉県松戸市、柏市内の福祉施設にアンケート調査を行う。また4月末に起きた熊本・大分地震の被災地において介護保険施設や障害者支援施設、介護保険事業者に対する聞き取り調査を行う。 ②その中でも特に「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」事業者や介護付き有料老人ホームでの被災状況や支援ニーズについて把握したい。 ③それらの支援ニーズからDWATに必要なスキルや支援方法について検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究計画ではアンケート調査を実施するために、当初集計のための人件費などを計上していた。しかしアンケート調査よりもまずはじめにプレ調査としてインタビューによる質的調査と小規模なアンケート調査を実施した。そのために人件費などを計上することなく調査結果を集計することができたためにその分が次年度使用額として生じた次第である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度においては、本格的なアンケート調査や聞き取り調査を行うため、その集計に人件費が発生する予定である。
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Research Products
(2 results)