2016 Fiscal Year Research-status Report
第二次大戦後の福田会育児院の運営組織と社会福祉実践史研究
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15K03958
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
宇都 榮子 専修大学, 人間科学部, 教授 (40060701)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会福祉史 / 児童養護施設 / 貧困 / 処遇 / 何礼之 / 仏教 / 施設経営 / 皇室財産 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会福祉法人福田会における第2次世界大戦後の社会福祉実践史研究のために年間11回にわたる研究例会を実施し、主には戦後資料に関する整理を実施し、史資料の検討を実施し、学会発表などの検討などを実施し、そして以下の成果を得た。 第一に、福田会所蔵史資料の中性紙保存袋に詰め替えをほぼ終了、第二に、第一の作業に続き、福田会所蔵史資料目録の作成をほぼ完成させ、あと少しの修正を加えればいい段階までに至ることができた。第三に、こうした史資料を整理保存するために書棚の整理方法も検討し、中性紙保存箱も購入し、史資料の並べ替えを行う段階までに至ることができた。第一から第三までの作業により史資料保存状態の改善を実施、史資料の閲覧検討が容易にできるようになった。第四に、宇都榮子が第114回東京社会福祉史研究会において、「第2次世界大戦後の福田会と復興に向けての動き」と題して、新発見の宮内公文書館所蔵の御料地関係資料を用いて発表し、前年度の日本社会福祉学会発表を発展させて、皇室財産の国有化により無償貸与地であった施設敷地に借地料が発生したことによる経営の不安定さについても明らかにできた。第五に、小泉亜紀は、「戦後期の(児童)養護施設内外の職業訓練と就職についての一考察-社会福祉法人福田会における昭和20~50年代の実践事例を通して-」と題して、第64回日本社会福祉学会秋季大会において発表、福田会退所児童の事例研究を行い、施設内が二職業訓練と就職の実際について明らかにした。そして、この報告を発展させて相模女子大学紀要に「戦後期の児童養護施設の職業訓練と就職についての検討―社会福祉法人福田会における昭和20年代から50年代の実践事例を通して―」にまとめた。第六に、支援者について戦前期と戦後期との比較のため、戦後期の中心人物何礼之の日誌翻刻も昨年度に引き続き実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史資料の保存状況の改善、史資料目録の作成は当初予定通り進展してきた。入所児童の事例検討については、退所児童についての検討ではあるが一部すすんだ。 また、戦後復興期の福田会を取り巻く状況の中で、皇室財産の国有化に伴う施設敷地の無償貸与から借地料発生による、福田会経営への影響、復興計画の何度もの頓挫の状況など明らかにできた。 しかしながら、戦後期の入所児童の全般的な検討、福田会経営の全般的な検討については十分に達成できたとは言えない状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、前年度に引き続き、毎月研究例会を実施し、社会福祉法人福田会図書室に於いて毎週2回資料整理を実施し、1.福田会史資料目録(福田会所蔵史資料並びに蒐集史資料を含む)の完成、2.戦前期・戦後期の福田会規則集の作成 3.何礼之日誌翻刻の完成 4.児童記録簿の整理を実施し、3年間のまとめとして最終年度の報告書作成を実施していきたい。
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Causes of Carryover |
福田会所蔵史資料の整理、目録作成について、当初予定していたアルバイト使用料が発生しなかったことと、何礼之日誌の翻刻に関わるアルバイト使用料が予定通りには発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第一には、福田会所蔵史資料の戦後期に関わる資料の翻刻作業を実施することと、第二には、入所児童に関する育成記録簿などの翻刻整理、第三には、何礼之日誌の翻刻作業を実施し、その作業に従事するアルバイトに対する謝金として使用する予定である。
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