2017 Fiscal Year Research-status Report
社会的排除に対する社会的連帯経済の役割に関する日韓比較研究
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15K03969
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
柳沢 敏勝 明治大学, 商学部, 専任教授 (30139456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (20339568)
中川 雄一郎 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (30097191)
久保 隆光 明治大学, 商学部, 助教 (70720671)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会的連帯経済 / 社会的経済 / 社会的企業 / 社会的協同組合 / 社会的排除 / 協同組合 / サードセクター / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は社会的連帯経済の現状に関する日韓比較調査分析である。この研究目的を達成するために、本年度は主として3つの領域での研究を実施した。 第1は、韓国における社会的連帯経済組織による高齢者ケアの実態調査である。4つのカテゴリーを対象としてヒアリング調査を実施した。社会的協同組合江北分かち合いケアセンター(共)、ソウル市高齢者ケア従事者綜合支援センター(公)、(社団法人)全国看護療養センター(共)、(株式会社)青い夢ケアセンター(私)の四者であり、公共私の3つのセクターで高齢者介護、看護事業を展開している。 第2は、韓国社会調査研究所との共同研究である。日韓の社会関係資本がネットワークのあり方に与える影響について、East Asia Social Survey(EASS)のデータを利用して比較分析したものであり、これまでこの種の研究はなかったに等しく、学会等での議論に資するものと考えている。 第3は、日本の社会的連帯経済の多様性と社会的連帯経済組織における均等待遇に関する実態調査の実施である。調査対象としたのは2カ所である。五ヶ瀬自然エネルギー社中(宮崎県)とエフコープ生協労働組合である。前者は、小水力発電の普及を契機として、五ヶ瀬地域包括支援センターなどとの人的ネットワークを通じた地域づくり(地方創生活動)事業を展開している。後者は、社会的連帯経済における均等待遇の実施の嚆矢であると言って大過ない。同一労働同一賃金、期間の定めのない雇用契約を通じて、昨今のわが国で社会的課題ともなっている非正規雇用の拡大から派生する問題を解決しようとの試みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会的連帯経済に関する日韓比較研究のために、韓国側研究者の協力を得ながら調査研究を進めてきた。韓国聖公会大学、明知大学、韓国社会調査研究所、iCOOP協同組合研究所の研究者の協力の下、高齢者介護、フードバンク、マクロクレジット、社会関係資本とネットワークなどの領域において調査を実施している。朴ウォンス・ソウル市長のリーダーシップの下で、協同組合都市を宣言した行政のあり方について調査研究を推し進めることによって本研究の課題を達成することができると考えており、最終年度である平成30年度の研究課題とする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究課題は、ソウル市が実施している「協同組合都市ソウル」の全貌について解き明かすことにあると考えている。とりわけ日本以上のスピードで高齢化が進んでいる韓国であるが、他方では高齢者ケアのための社会保障システムには立ち遅れがり、高齢者の自殺率が高いことが知られている。また、若年者の失業率が高いことも韓国の特徴であり、日本の現状とも重なり合う部分が多い。こうした実情に対して社会的連帯経済組織をもって解決を図ろうとしているソウル市の社会政策の全体像を解明することを課題とする。また、第2に、朴ソウル市長や国連社会開発調査研究所UNRISD、ILOなどが主導するGSEF(Global Social Economy Forum)2018ビルバオ会議に参加し、意見交換、情報収集、資料取集を図る予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が2017年度も引き続き本務校での副学長職を務めたため、学内業務との調整を図る必要があり、韓国実態調査の一部を実施できなかった。 平成29年度に実施できなかった韓国での調査のための費用と専門的知識の提供wに宛てると同時に、新たに発生したGSEF国際会議での情報収集・資料収集のための旅費に充当する予定である。
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Research Products
(6 results)