2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢生活困窮者の社会的つながりを高めるサポートモデルの開発
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15K03971
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡本 菜穂子 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (30553565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
グライナー 智恵子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20305270)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生きがいづくり / 居場所 / 社会的包摂 / 生活の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象である路上生活等を体験した高齢者が主体となり活動できるプロジェクトが2年目を迎え、新しいメンバーが参入し意欲的にも活動的にも紆余曲折しながら軌道に乗った活動が展開された。生きがい・居場所づくりのプロジェクトのメンバーに統合化される過程では、新しいメンバーが自らできる活動を選択し、プロジェクトに関わることを通じて、プロジェクトの旧メンバーに受け入れられている様相を感じられるようになってきている。メンバーの参加人数は、プロジェクト開始時は8名であったが、2年目終了時には12名に増加している。参加人数の数的な変化だけでなく、参加状況の質的な変化が以下のように見受けられるようになったことは、生きがい・居場所プロジェクトの質的な成果と考えられる。メンバーの方々は、日々忙しく自分の役目や立ち位置を確認したりするメンバー、他の人へ一緒に作業をしないかと声をかけるメンバー、黙々と役割を全うしようと励むメンバーがいたり、それぞれが多種多様な役割を担っておられます。個々のメンバーがプロジェクトとつながりを持ち続けている姿からは、彼らが市民の一人としてプロジェクトの仕事や役目へ親しみを感じている様子も見受けられる。きっと「自分がここにいてもいい」と思える空間とそう思える仲間の存在が、このプロジェクトの原動力と成っていると考えられた。今年度は主として参与観察を行い、個々のメンバーへの直接的な声を聞く機会は設定しなかったが、来年度は生きがい・居場所の構造を探るための方向性を明確にすることを課題とする。 他のエリア(大阪府)の同様のプロジェクトにおいては、官民一体となった生きがい・居場所プロジェクトが展開されている。当事者の主体性と継続性について、比較を試みることを来年度計画する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定期的な会議をプロジェクトメンバーと行い、プロジェクトの進捗状況を研究者のみならず運営管理をしているメンバーと評価を行うことができた。今後の課題についても、研究者と対象者とのコラボレーションにより検討をすることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
展開中の「居場所・生きがいづくりプロジェクト」において、プロジェクトのゴール設定、効果測定にあたり、あらためて「当事者のニーズとは何か」という壁に突き当っている。当事者の主観的・感覚的要素が多分に含まれ、かつ測定が困難である「効果」について、研究者・研究協力者以外の専門家を交えて勉強会を重ねることを進めていく予定である。プロジェクトの事業戦略を設計し、最終的にプロジェクトのモデル化を達成することを目的に、生活の質を測定する指標の検討を推進していく。
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Causes of Carryover |
研究協力施設、研究協力者への謝礼及び施設使用料が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、対象者へのインタビュー調査への謝礼、調査票の送付にかかる費用、フィールドへの旅費に使用する。
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