2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03982
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
佐々木 一郎 同志社大学, 商学部, 准教授 (60330651)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国民年金 / 納付率 / 地域格差 / 年金リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
国民年金をベースとする公的年金は、わが国の高齢者の老後収入源の約7割を占めており、老後経済生活を支える上で重要な役割を果たしている。しかし、現在の学校教育現場では、国民年金の仕組みや老後における経済的重要性について体系的に学ぶ機会は非常に少ない。そのため、国民年金の重要性が理解されていない場合や、経済的理由等で免除・猶予制度を利用できることを十分に理解していない場合などに、個人で納付手続きが必要な国民年金では、年金未納が生じやすいと考えられる。 そのため、本研究では、第1に、国民年金納付率やその地域格差に影響する要因として、年金知識不足に注目した。国民年金をベースとする公的年金の知識度をたずねる年金クイズ20問について、国民年金未納者は年金クイズの正解率が低く、年金知識度が低いことを明らかにした。 第2に、国民年金の納付が困難な人々の経済的状況をアンケート調査から分析した。国民年金未納者は、年金保険料を支払う上で経済的に困窮している可能性が高いことを踏まえ、親からの定期的な仕送りを受けている割合が高いかどうかを分析した。分析の結果、国民年金未納者は、国民年金納付者等と比較すると、親からの定期的な仕送りを受ける割合が高いことが示された。国民年金納付を促進するには、国民年金未納者が年金保険料を支払うことができる経済力をつけること、そのためには、正規雇用の増大など、雇用面も含めた対策が重要であることを提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国民年金納付率の要因分析に関連する論文を刊行できたため。また、国民年金納付率の促進と密接に関連する要因として、年金知識度が深く関わっていることについて、定量データからの裏づけを示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、追加でアンケート調査を実施し、多変量解析と論文執筆を行う。長寿社会において経済面で安心できる社会構築のために重要と思われる、国民年金納付率の要因分析と、その地域格差解消策を提案する。
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Causes of Carryover |
今年度に予定していたアンケート調査の一部について、次年度に実施することにしたため。
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Research Products
(3 results)