2015 Fiscal Year Research-status Report
能動的参加としてのアクティブ・インクルージョンー新しい若者の社会的包摂の可能性
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15K03990
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大村 和正 立命館大学, 産業社会学部, 非常勤講師 (30571393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 敏昭 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (40736203)
居神 浩 神戸国際大学, 経済学部, 教授 (70289057)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 若年者の社会的包摂 / アクティブ・インクルージョン / 居場所 / 就労支援 / 「The Work」 / NPO法人スマイルスタイル / 日本センチュリー交響楽団 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年7月8日に第1回研究会(会場、同志社)、2016年3月12日に第2回研究会(会場、立命館・梅田キャンパス)を実施した。第1回研究会では居神浩編著『ノンエリートのためのキャリア教育論』の書評報告と京都ユースサービス協会などで青少年への支援活動を行っている現場実践者の報告を行った。書評報告の討論を通じて、当プロジェクトの研究目的である若年者の社会的包摂の諸問題や概念を検討、現場実践報告をめぐる議論で京都の若者支援活動の実態を踏まえた社会的包摂の問題を検討した。第2回研究会では櫻井純理氏(立命館)による大阪府の事例を踏まえた「就労支援の問い直し」に関する報告と議論を行った。対象を若年者に限定しない形で、就労支援と社会的包摂に関する意見交換を行った。これらの研究会を通じて、概念と現場の実態の正面から、若年者を中心とする社会的包摂の考察を掘り下げることができた。 調査として日本センチュリー交響楽団とNPO法人スマイルスタイルが行っている「The Work」を2015年7月に4回視察を行い、2016年3月「The Work」に参加した若年者3名へのインタビュー調査を行った。「The Work」は音楽の創作活動を通じた若年者の支援事業であるが、この活動の観察やインタビュー調査を行うことで、当プロジェクトの課題である、狭義の就労支援に限定されない「能動的参加」の社会的包摂を探求するうえで貴重な知見を得ることが出来た。同趣旨で2015年9月にNPO「ココルーム」(大阪市西成区)、2015年9月に認定フリースクール「アウラ学びの森」(亀岡市)を訪問して、関係者にインタビューを行った。「ココルーム」の調査では、文化活動を通じた当事者の支援について、「アウラ学びの森」の調査では、不登校の若年者の居場所提供や当事者の自主性に基づく教育や社会的包摂に関する貴重な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」でも記したように、当研究プロジェクトの対象であるNPOの活動などの視察や研究対象である活動の参加者にインタビュー調査を行うなど、おおむね順調に研究活動を実施している。2015年度の主たる調査対象であるNPO法人スマイルスタイルや日本センチュリー交響楽団や、認定フリースクール「アウラ学びの森」、NPO法人「ココルーム」の関係者と良好な関係を築くことができており、今後の調査を行ううえで良い展開になっていると思われる。2回の研究会で、当プロジェクト以外の研究者や現場実践者に御報告していただき、プロジェクトのテーマに関する考察を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き「The Work」の調査を継続して行う他、認定フリースクール「アウラ学びの森」やNPO法人「ココルーム」の調査も行いたい。また京都府や大阪府の若者サポートステーションや兵庫県西宮市の学習支援活動も調査も行う予定。 28年度は英国の若年者支援や就労支援に取り組むNPO等の活動も調査する予定。 調査の他、研究会の実施等で、テーマの若年者の社会的包摂に関する概念等の理論的検討や調査手法に関する検討も進めていきたい。
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Causes of Carryover |
調査対象の「The Work」のインタビュー調査者が予想以上に少なかったため。加えて諸般の事情で京都や大阪の若者サポートステーションの調査を行うことができなかった。これらの理由で若干27年度の経費で未使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「The Work」などのインタビュー調査者が増えれば、それに未使用分の経費を当てたい。しかしインタビュー調査者の人数は減る可能性もありうる。この分も含め、28年度は27年度に実施できなかった京都や大阪の若者サポートステーションなどの調査を実施する予定。また当初の予定通り、英国調査も実施する方針である。27年度の未使用分はこれらの調査などで使用する予定。
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Research Products
(2 results)