2016 Fiscal Year Research-status Report
スウェーデンおける福祉国家型社会的企業についての研究
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15K04003
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
藤岡 純一 関西福祉大学, 社会福祉学部, 特任教授 (70165356)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 労働統合型社会的企業 / スウェーデン / 福祉国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
スウェーデンのヨーテボリ市において、ヨーテボリ大学のStig Montin教授と意見交換をし、ヴェーゲンウット等の同市の労働統合型社会的企業数社と中間支援組織であるコンパニオンを訪問調査した。これらの調査によって、市(コミューン)や職業安定局などの公的部門が労働統合型社会的企業の設立と運営において大きな役割を担っていること、設立時には主にこれらの公的部門からの委託資金によって運営されており市場での販売収入は少ないこと、設立されてから長く経過し成功している労働統合型社会的企業においては市場での販売収入が50%以上に達することが明らかになった。このように、設立後時間が経過するにつれて市場での販売収入が増加するが、公的部門からの委託収入は依然として運営において重要な位置を占めている。 公的部門の委託は障がい者や失業者のリハビリと職業訓練に対して行われるが、その公的な資金によって労働者を雇用し、利用者と労働者との共同労働が実現する。労働者はかつての利用者であることも多く、もしも労働能力が100%以下であれば賃金保障が支払われる。利用者には給与はないが、障害者に対する活動保障、長期失業者に対する訓練給付金が支給される。 障がい者に対する日中活動とリハビリは法律で市の義務となっており、また、長期失業者に対するプログラムも政府の政策として行われている。かつては公的部門でのみ行われていたこれらの活動はいまやその一部を労働統合型社会的企業に委託して行われている。福祉国家のあり方の多様化が実現していると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度にストックホルムの地域で本課題の研究に必要な機関と社会的企業を訪問して調査を行った。平成28年度にはヨーテボリの地域で同様の調査を行った。その成果の一部はすでに拙著「スウェーデンにおける社会的包摂の福祉・財政」そして日本社会福祉学会第64大会(佛教大学:2016年9月11日)報告において公表した。研究内容も上記研究実績の概要で示したとおり予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、スウェーデンのストックホルムの地域において前回訪問していない労働統合型社会的企業と関係機関を訪問・調査するとともに、さらに条件不利地域における労働統合型社会的企業と中間支援団体への訪問・調査を広げる。そして研究のまとめを行う。 これまでの成果を日本NPO学会(東京学芸大学:2017年5月13日)で報告するとともに内容をさらに深めていく。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において、平成28年度未使用の人件費・謝金を使用する予定。
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Research Products
(2 results)