2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04010
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
江口 賀子 西九州大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10341554)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢刑余者 / 社会福祉施設・職員の受け入れスキル / 海外の高齢刑余者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者分野(施設・居宅つまり地域を含む)の矯正施設退所者に対する、社会福祉施設従事者側の受け入れに関する体制や専門性(スキルや方法・体制・研修体系)等の現状や課題について明らかにすることを目的とする。平成27~29年度までの3年間を計画とし、初年度27年度においては、以下の2点の研究を行った。 1.矯正施設退所高齢者の受け入れを、地域生活定着支援センターが設置される以前、社会福祉施設・施設職員がどのように行ってきたのかについて、インタビュー調査を実施。この成果を、日本司法福祉学会(H27.8.1)「介護保険導入以前の社会福祉施設における支援対象者受け入れに関する一考察」において報告した。結果として、介護保険導入以前の措置制度においては、社会福祉法人の意義(地域貢献の視点)の観点から、刑余者の入所は、受け入れることが当然の事として、取り扱われていたことが挙げられた。次に、支援においては、他の利用者と何ら変わりない方法で受け入れられたこと、個別のケア計画による支援方法を導入し支援の統一化を図っていたこと。が挙げられた。そのため、職員への基本的な教育として対人援助の基本を徹底し、重点的にしていたこととして、他利用者・家族への十分な説明の実施。刑余者家族への支援の重要性が認識されていたこと。等が整理できた。 2.海外における、地域社会及び社会福祉施設の受け入れ体制について。 当初文献検索等で実施の予定であったが、Chulalongkorn University (Thailand)で、タイの司法福祉の研究者との交流を行える機会を得、海外の矯正施設における高齢者について今後意見交換を行える機会を得る事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画においては、平成27年度は、文献検索及び予備調査として九州県内を中心に聞き取り調査を開始することとしていた。内容としては、次のⅠ~Ⅲを挙げていた。 Ⅰ.文献検索では、資料を収集・整理する。 Ⅱ.聞き取り調査では、矯正施設退所者の高齢者の現状について、地域生活定着支援センター職員及び司法関係者、社会福祉施設関係者、約10か所程度の協力を得て、半構造化インタビューを用い把握し、質的に分析する予定。(平成27年10月頃) Ⅲ.調査協力依頼のための、全国の救護施設・高齢者施設・地域包括支援センター等に往復はがきを使用した予備調査の準備をおこなう。(平成28年1月~3月頃) さらに、本研究の中心的課題である、社会福祉施設従事者の受け入れに関するスキルや体制等について詳細に検討する計画予定であった。 Ⅰの資料収集・整理の時点で、予期していない体調不良や業務調整のミス等で思いがけず時間が経過したこと。本研究の最終段階として検討していた海外の司法福祉の研究者とのコンタクトのチャンスを得るため計画の修正を行ったこと。以上2つの要因で、計画の進行について時期の変更や遅れがでることになった。平成28・29年度計画進行の見直しが必要と考える。しかしながら進行時期の修正をすることで、平成29年度の最終年度までには実施可能だと予測している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、平成27年度の研究計画の遅れについて、進行調整を行いたい。 平成27年10月をめどに、受け入れの現状及び受け入れ側のスキル等を尋ねる聞き取り調査等の準備及び実施を行う。(→平成28年6・7月へ再調整) 平成28年1月~3月頃、本研究に協力していただく依頼のため、予備調査を行う。協力を希望する施設には、研究について詳細な説明もしくは文章送付を行い、研究に参加する意志を持つ者から研究参加の同意書を得る。(→平成28年10・11月へ再調整) この時点での、進行調整ができれば、当初計画の平成29年1~3月中(一部では平成28年9月の実施もありうる)に、質問票と質問票の記入方法を協力者に配布及び送付。一定期間を経た後、記入済みの質問票を回収及び返送をお願いすることができる。 最終年度、平成29年12月ごろに解析を完成させ、学会発表・論文執筆については、段階的に開始する。 平成28年度は、計画推進に邁進したい。
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Causes of Carryover |
体調不良等で研究へのエフォートが予定どおりにできなかったことが要因の第一に挙げられる。そのため、調査の大幅な遅れが生じ、①調査に使用予定のパソコン・ICレコーダー・デジタルカメラ・ビデオカメラ等の備品について;計画進行の遅れに伴い、当初予定のインタビュー調査への持参ができず、購入を見合わせたこと。②資料収集の国内旅費について:資料収集の調査・打ち合わせができなかったため。それに伴う人件費・謝金について支払いが生じなかったこと③調査用の往復はがき・レターパックの購入を見合わせたこと。 が挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の遅れ分について、真摯に反省している。研究への比重を当初計画に加えて変更し、平成28年度に再調整し、実施する。調査実施のために平成27年度使用していない費用について使用し、調査を軌道に乗せることとする。
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