2016 Fiscal Year Research-status Report
仲間の排斥・攻撃行動の許容における仲介・調整プロセスの検討
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15K04023
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
礒部 智加衣 千葉大学, 文学部, 准教授 (20420507)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 受容と排斥 / いじめ / 迷惑行為 / 謝罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
1つ目の検討では、ある人が拒絶されている場面で周囲の人が拒絶行為に加担するのか、それともその行為を非難するのかによって、人がどのようにその場面を捉え、対応するのかを検討した。また、組織市民行動他の調整効果を検討した。81名の大学生を対象に実験を行った。パーソナルコンピュータを用いてチャットをする場面において、拒絶場面を操作した。その結果、周囲の人が拒絶行為に加担しなければ、拒絶として認知されにくいことが分かった。また、周囲の人が拒絶者を非難したとき、参加者も被拒絶者に受容的な態度をとることが示された。つまり、周囲の他者に同調する傾向にあった。しかし、組織市民行動が高い人は、周囲の人が加担しているときにも被拒絶者に受容的であること、加えて、集団に居続けたいと思わないことが分かった。 2つ目の検討では、迷惑行為をおこなった成員(内集団成員-外集団成員)を受容するかどうかに、その成員が所属する組織の対応(向社会的対応-対応なし×罪悪感-恥)がどのような影響を及ぼすかを検討した。Web調査を用いて、会社員400名(分析対象198名)に対し、場面想定法による調査を実施した。会社の評価においては、組織対応の主効果のみが認められ、向社会的対応のほうが評価が高かった。しかし、成員への態度については、集団と感情の交互作用が有意である傾向が認められた。組織が恥だと述べたとき、迷惑行為を行った内集団よりも外集団成員をより受容する傾向にあることが分かった。この結果は、組織対応なし条件において、内集団より外集団成員が受け入れられやすいという傾向を考慮すると、外集団成員が、組織から罪悪感を示されたときに、受容的態度が低くなるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、排斥・攻撃に対する個人的信念と集団風土が、排斥・攻撃の加担・抑制に及ぼす影響明らかにすることを目的とする。本年度は、実験と調査により、被拒絶者を助けづらい・逸脱者を許容しがたい状況、またそのプロセスを一部ではあるがを特定することができた。周囲・組織の対応によって、被拒絶者・逸脱者への態度は変化するが、所属する集団・組織に対する魅力が変わりにくいことも明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
被拒絶者・排斥者への受容に周囲が及ぼす影響について、引き続き検討を行う予定である。Web調査を用いて、社会人においても汎用可能かどうかを確かめる。加えて、排斥の影響を認知的な手法を用いた検討も行う予定である。 また、ネガティブ行為を行ったものに対する攻撃について、その行為に対する組織の対応が、成員の受容的な態度にどのような影響を及ぼすのかについて、さらなる検討を行う。ネガティブ行為の程度における違いも検討する。また、個人特性の調整効果について、分析を進める。 最後に、これまでの研究結果を踏まえて、どのような状況で、攻撃・排斥が正当・妥当であると判断されやすいなのかについて考察する。
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Causes of Carryover |
2015年11月から2016年6月まで、産休・育休のため、研究活動が進められない環境にあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
排斥問題に関するWEB調査を実施する予定である。実験により得られた結果に基づき調査紙を設計し、周囲の人々のあり方が、被排斥者の援助にどのような影響を及ぼすかを社会人を対象に検討する。
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