2015 Fiscal Year Research-status Report
インターネット利用行動の規定因に関する研究:ネット上の他者との関係に着目して
Project/Area Number |
15K04028
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中山 満子 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (30235692)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SNS疲れ / ネット利用 / ネガティブ感情 / つながり / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、いわゆるSNS利用を中心とした今日のネット利用行動を理解する枠組みとして、つながりたい心、知りたい心、比べたい心の3つを設定して、行動の規定因、影響する要因を明らかにすることを目的としている。今年度はネット上での“つながり”の感覚を捉えるために、半構造化面接と質問紙調査を行った。 LINEとTwitterの利用者を対象とした半構造化面接の結果、(1)利用者はそれぞれツールの使い方やコミュニケーションのあり方に対する「信念」を有していること、(2)信念に反する行動はネガティブな感情や「疲れ」を生み出すこと、(3)信念にはネットにおける公的空間・私的空間の区別が含まれており、公私の区別や移行がスムーズでない場合にネガティブ感情につながること、(4)ネット上の発信であっても、そこに何らかの意味や価値を求めようとし、価値のない情報を発信することに不安を感じ、意味や価値のない情報に接することでネガティブ感情が生み出されること、(5)LINEの場合には、携帯メール文化を継承しており、即時的コミュニケーションへの圧力が強いこと、などが示された。質問紙調査では、いくつかの個人特性とネット利用から生じるネガティブ感情に着目して分析を行った。その結果、LINEとFacebookでは様相が異なっており、LINEでは孤立不安が高い場合にコミュニケーションの困難さや返信義務感を強く感じること、Facebookでは社会的比較志向性の高さと孤立不安がコミュニケーションの困難さにつながることなどが示された。 現段階ではコミュニケーションの困難さには、自己呈示意識、社会的比較傾向、同調への圧力など、分離可能な概念が含まれているため、尺度の精緻化が必要である。また「つながり感覚」のネガティブな側面はインタビューでも質問紙でも捉えやすいが、ポジティブな側面もとらえて尺度化することが喫緊の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
つながり感覚という概念のポジティブ面がうまく抽出できず、尺度化が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的は方向に変更はない。今年度の調査から得られた「ツールへの信念」という概念を整理し、精緻化して、尺度を完成させる。ついで「知りたい心」についての研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
主として学会発表が近隣であったため旅費を使わなかったことで残余金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複数回の学会発表旅費に充当することを予定している。
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Research Products
(1 results)