2015 Fiscal Year Research-status Report
知覚的マインドセットと文化的マインドセットの相似性・相補性に関する研究
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15K04033
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
眞嶋 良全 北星学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (50344536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会系心理学 / 実験系心理学 / 文化的マインドセット / 知覚的マインドセット / 二重過程理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては,認知スタイル測定指標の整備と,大域・局所処理の誘導が包括的・分析的処理の実行に影響を与えるかどうかについての予備的検討を行った。 前者の認知スタイル測定指標については,Analysis-Holism Scale の日本語版を作成し,尺度構造について確認した。また,今後調査の項目として用いるに当たって,なるべく小数の項目数で測定するためにオリジナルの24項目から12項目を選んだ短縮版の項目選定を行った。大域・局所処理スタイルの測定指標の整備は28年度に行うこととした。また,28年度以降に行うオンライン実験のための環境整備にかかる予備的検討を行った。 後者の大域・局所処理誘導が,包括的・分析的処理の選択に影響するかどうかについては,事前に Navon 図形を用いて処理方向を誘導した後で,文化心理学の領域で用いられている包括・分析的処理の測定課題を行ったが,知覚的マインドセットの誘導によって文化的思考のパフォーマンスに変化は見られなかった。この原因については,28年度において継続して考察を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
知覚的スタイルの誘導が包括的・分析的処理を測定する課題のパフォーマンスに変化を与えなかったという予備的実験で得られた結果が,実験手続き上の問題であるのか,知覚的マインドセットと文化的マインドセットの関係性が想定していたのとは異なるものであることによるのかについて,まだ明確な仮説を立てるに至っていない。また,この理由を検討するための,当初予定していなかった実験または調査の必要性が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
知覚的スタイルの誘導が包括的・分析的処理を測定する課題のパフォーマンスに変化を与えなかったという予備実験の結果について,その理由を探るための追加の調査または実験を行う。 特に,予備実験は日本人参加者のみを対象としており,知覚スタイルの誘導効果は,西洋文化圏の参加者では異なった効果を持つ可能性も考えられるため,28年度については西洋文化圏の参加者を用いた調査・実験を行い,その結果と併せてマインドセット・プライミングの効果について検討を行う。 なお,同時に当初の計画通り,包括・分析的思考のプライミング,すなわち文化的マインドセットの誘導が,その他の課題に対して与える効果について検討を行う。
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Causes of Carryover |
海外において行う予定であった研究打ち合わせが,海外協力研究者が本事業とは別の予算で来日することになり,日本国内で実施したことにより残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画していたオンライン用の調査環境(サーヴェイサイト)は,調査への参加者にブラウザプラグインのインストールを要求するものであり,参加へのハードルが高いと判断した。そのため,これとは別の,より高機能なソフトウェアを使用することにした。次年度分の計上費用の差額として上記の残額を使用する。
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