2016 Fiscal Year Research-status Report
知覚的マインドセットと文化的マインドセットの相似性・相補性に関する研究
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15K04033
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
眞嶋 良全 北星学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (50344536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会系心理学 / 実験系心理学 / 文化的マインドセット / 知覚的マインドセット / 二重過程理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度では,オンライン実験のための環境整備について,27年度に行った成果をとりまとめた。その結果,オンライン調査・実験ともに,オフライン・サンプルと同程度以上の信頼性を持つこと,オフライン研究に比べて研究の計画・実施・分析にかかるサイクルが極めて短く済むことが明らかになった。本研究の成果は,2本の学術論文として刊行された。 大域・局所処理と包括・分析処理の認知スタイル間の関係については,大域および局所処理誘導が文化によって異なる包括・分析処理に与える影響を検討する実験を,前年度に引き続いて行った(実験は現在も継続中であり,終了次第分析を行う)。これに加えて,文化に根ざした認知スタイルが,現実場面での信念や信念に基づいた判断に与える影響についての検討を行った。その結果,より一般的な二重過程思考に加えて,文化的背景を持つ認知スタイルも信念の強度の説明変数として有効であることが示された。特に,因果関係に対する理解や,矛盾する命題の処理の仕方が信念の強度に影響することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
知覚的スタイルの誘導が文化的マインドセットを測定する課題のパフォーマンスに影響を与えていないことについて,一部の手続きを修正した実験を行っているが,必要なサンプルの収集がまだ完了していない(2017年4月末までには収集予定)。また,文化的マインドセットが他の処理過程に影響を与えることについて,単純な知覚的処理への影響は限定的であり,むしろより高次の推論・判断過程に対する影響を検討した方が良いのでは,という意見があったため,追加の検討を計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
知覚的スタイルの誘導による包括的・分析的処理に与える影響については,現在遂行中の実験を早期に終了させた上で,取り急ぎデータの解析を行う。 文化的マインドセットが推論・判断過程に与える影響については,認知スタイルの文化差,特に因果関係の理解の仕方や,矛盾する命題の処理の差に注目し,それらが日常的な信念の形成・維持と,その信念に基づいた判断に与える影響を検討する調査を行う。この調査については,計画の大枠は策定済みであり,海外研究協力者との協議を経て,共同研究として実施する計画である。
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Causes of Carryover |
16年度に実施を予定していたオンライン調査について,一部計画の見直しを行う必要があったため,実施を17年度に行うことになった。また,海外において行う予定であった研究打ち合わせが,海外協力研究者が本事業とは別の予算で来日することになり,日本国内で実施することになった。 以上の理由により,残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度実施するクラウドソーシングサービスを利用したオンライン調査における,調査協力者への謝金(支出の計上費目としては学術調査費となるが,実質的には謝金),および,将来的な研究の発展を見越した更なる共同研究の打ち合わせのための,海外への渡航費として使用する。
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