2017 Fiscal Year Research-status Report
知覚的マインドセットと文化的マインドセットの相似性・相補性に関する研究
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15K04033
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
眞嶋 良全 北星学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (50344536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会系心理学 / 実験系心理学 / 文化的マインドセット / 知覚的マインドセット / 二重過程理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
文化に根ざした包括―分析的認知スタイルが,現実場面での信念や信念に基づいた判断,特に二重過程理論が想定する直観的―省察的認知システムに与える影響についての検討を行った。具体的には超常現象および疑似科学への信奉の程度が,認知能力,人格特性,および認知スタイルにどの程度媒介されているかの検討を質問紙調査により行った。その結果,直観的な個人はそれらの信奉を強く持ち,省察的認知の働きが強い個人ほど信奉の程度も低いという先行研究と同様の傾向が見られたことに加え,認知の文化差,特に因果関係の理解の仕方の差が最も強い説明力を有していることが明らかになった。 さらに,直観―省察的認知システムの働きについて,より実験的なパラダイムで検討することの必要性が考えられたため,本年度は予備的な研究に着手した。具体的には,論理的推論の結論が,直観的には正しく感じられるものの論理的には妥当ではないなど,直観的帰結と論理的妥当性が相容れない三段論法における真偽判断に影響する要因を検討する実験を質問紙型,および判断に要する反応時間を測定する認知心理学実験の2つの手法を用いて検討した。その結果,信奉者は推論を誤りやすく,省察的認知の傾向が強い個人は正解率が高い傾向にあることが示された。また,より時間をかけて推論するほど正解率が高いことも示された。 これらの成果の一部は国際学会等で発表された。ただし,実験的手法を用いた研究は,本年度は予備的な検討にとどまり,文化比較を行っていないので,今後は,この成果を元にした文化比較実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文化差研究について一部研究計画の見直しが必要になるなど想定外の事情により当初の予想よりは遅れている。しかしながら,研究計画の見直し自体はすでに終了しており,具体的な調査項目の選定も概ね完了している。また,それに伴い,昨年度に実施した予備的調査の結果を踏まえた論文執筆も一部停止していたが,年度内には草稿を書き上げることができる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度に得られた知見を元に一部の調査項目を修正した新たな調査研究と,直観―省察的認知システムの働きとその文化差について,より直接的な認知実験による検討を行う。これらの研究で用いる課題の選定は概ね終了しており,連携研究者側で遅れている倫理審査の結果を待って,調査および実験を開始する。調査・実験の終了後は,早急に結果をまとめ,学術雑誌等への投稿へ向けた論文の執筆を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れに伴い,一部調査・実験が未実行のため。2018年度において実施する調査・実験への参加者に対する謝礼,および論文執筆後の英文校閲費用として使用する。
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