2016 Fiscal Year Research-status Report
中国企業組織における従業員の文化特有行動・意識の研究
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15K04034
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
古澤 照幸 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (00261090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 英莉 埼玉学園大学, 経済経営学部, 教授 (00272782)
村田 和博 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00300567)
平野 賢哉 東洋学園大学, 現代経営学部, 教授 (60352803)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワーク・エンゲイジメント / 上司と部下の関係 / 中国人の文化特有行動 / 面子 / 権威勾配 / 面従腹背 / 刺激欲求 / モチベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度に中国西安市に所在する企業4社で働く中国人従業員200名に対して実施したアンケート調査を分析するとともに、その分析結果を検討した。中国西安市のアンケート調査の概要と分析結果については『下関市立大学論集』第60巻第3号(2017年1月)で公表し、また、参加メンバーによる分析結果の検討については平成29年2月21日に下関市立大学で行った。本アンケート調査の分析結果の概要は以下のとおりである。本調査の主な質問項目は、①属性を問う項目群(性別、年齢、最終学歴、勤続年数、職務、職位)、②ワーク・エンゲイジメントを問う項目群、③ストレスを問う項目群、④上司と部下の関係を問う項目群、⑤中国人の文化特有行動を問う項目群1:上司からの指示に疑問を思うときの行動、⑥中国人の文化特有行動を問う項目群2:面子、関係、人情、⑦刺激欲求を問う項目群である。回答形式は「1 全くそう思わない」、「2 あまりそう思わない」、「3 そう思う」、「4 非常にそう思う」の4件法とした。 本調査の結果、中国人従業員の特徴として、以下の点が明らかになった。①権威勾配が急なグループで、上司と部下の協力、感情の交流の数値が低くなる傾向が見られる。一方、権威勾配と部下の上司に対する評価には明確な関連性は読み取れない。②権威勾配が急であれば、組織に対する忠誠心が低下する、部下の面従腹背の傾向が強くなる、及びワーク・エンゲイジメントが低くなる、傾向にある。③上司の支配傾向が強い場合には、部下の追従傾向が強くなる傾向を読み取れる。したがって、上司が威圧的で自らの権威を行使する姿勢を示せば、それを受け入れようとする部下の傾向が強くなることがわかる。④面子が潰されるとモチベーションが低下する傾向にある。⑤関係を仕事に生かしたいというという意識は強いが、非公式組織内のつながりに対する意識は弱い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に西安市と北京市の質問紙調査を終えることができ、西安市の調査については調査結果を参加メンバーで分析し、分析結果を論文として公表することができた。ただし、計画以上に研究が進んでいるわけではないので、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
日本企業に対して、中国企業に対して行ったものと同様のアンケート調査を実施しているので、そのアンケート調査を分析する。また、平成29年度は研究期間の最終年度にあたるため、本研究に関わる研究成果の報告書を出す予定である。研究成果の報告書の作成のために、平成29年度に数回の研究会を開催し、研究報告書の内容についてメンバー全体で検討する。報告書作成に関しては、合理的な手法の利用に心がける。 以下のような問題もあった。研究会の開催が予定よりも少なくなってしまったが、時間の調節を行い、平成29年度には問題が最小化するように心がける。 いずれにしても、本研究によって導いた研究方法を合理的な形にまとめ上げることを最終課題とし、今後の研究に結びつけていけるようにしたい。
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Causes of Carryover |
2回予定していた海外調査が1回で調査が済んだため、2回目の海外調査が必要なくなり、694,672円繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は海外調査で収集したデータを紙媒体に取りまとめる作業と、研究会の交通費で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)