2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the relationships among early adolescents' emotional autonomy, mutual trust, and mutual regulation between children and mothers
Project/Area Number |
15K04056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平石 賢二 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80228767)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 思春期 / 情緒的自律性 / 母子関係 / 相互信頼感 / 相互調整的態度変容 / 心理的適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,主に以下の3点について研究活動を行った。(1)相互信頼感尺度の再検討:従来使用していた尺度は12項目から構成されていたが,確認的因子分析および項目応答理論に基づく分析を行い,情報量の高い6項目を選出した。結果として,より精度の高い短縮版の相互信頼感尺度を開発することができた。(2)オンラインでの縦断調査の実施:令和2年2月,3月にオンライン調査会社であるNTTコムオンラインにモニター契約をしている母親と中学2年生を対象にして,オンラインの短期縦断調査を実施した。調査内容は2回とも同一内容であり,母子共通の設問として,精神的健康度,自尊感情,相互信頼感,親子間コミュニケーション(独自性,結合性)について測定する心理尺度を実施した。また,母親に対しては,養育態度(不安定な態度,威厳ある姿勢,主体性の尊重,適切な心理的境界),子どもに対しては,情緒的自律性(情緒的分離)を測定する心理尺度をそれぞれに含めた。2時点の縦断データを用いた重回帰分析の結果,子どもの情緒的自律性は心理的適応の指標である精神的健康度と自尊感情とは全く関連を示さず,母子双方の相互信頼感,子どもの母親に対する結合性の表明と負の関連,母親の不安定な態度と正の関連を示していた。(3)総括:これまでに行った研究成果のまとめと理論的検討を行った。結果として,思春期の情緒的自律性は健康な心理社会的発達の指標というよりはむしろ,親子の関係性のネガティブな側面に関連していることが示唆された。また,相互信頼感は母子で相互的に影響を与え合う要因であり,様々な独立変数,結果変数と関連し,特に心理的適応に影響を与える媒介変数として重要な指標になることが明らかにされた。しかし,本研究課題の目的の1つであった母子の相互調整的な態度変容については,十分に検証することができず今後の課題として残された。
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