2016 Fiscal Year Research-status Report
自己決定的な登校への動機づけは「登校したくない気持ち」を低減し,欠席を抑制するか
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15K04058
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五十嵐 哲也 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 准教授 (90458141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅野 理恵 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (60754356)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 登校への動機づけ / 不登校傾向 / 学校生活状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,小中学生の登校への動機づけが,登校への意識ならびに実際の登校状況に対していかなる影響を及ぼすのか検討することを目的としている。さらに,それらの影響関係が,個々の子どもたちの状況によってどのように異なるのかを明らかにすることも,目的としている。 当該年度においては,まず,初年度の成果(登校への動機づけを測定する尺度作成のための項目収集,ならびにその尺度作成のための質問紙調査)を踏まえ,登校への動機づけ尺度作成の分析を実施した。その結果,小中学生ともに適切な信頼性・妥当性を有した尺度の作成が確認され,自己決定理論に基づいた有用な登校への動機づけ尺度が完成した。 そこで,小中学生を対象に,この登校への動機づけ尺度とともに,不登校傾向尺度,ならびに欠席・遅刻・早退状況を尋ねる調査を実施した。また,同時に,学校生活状況を測定する尺度を合わせて調査した。これらによって,登校への動機づけが,登校への意識ならびに実際の登校状況にどのような影響を与えているのか,またその影響性が,個々の学校生活状況によってどのように異なるのかを検討することとした。現在はその分析を行っているところであるが,自己決定的な登校への動機づけを高く有しているほど,不登校傾向を感じにくいなどの特徴が見出されていると言える。したがって,概して,登校への動機づけの自律性を高める支援を行うことは,不登校の予防に資するという結果であると指摘できる。今後,さらなる分析を進め,より詳細な影響関係を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本調査の実施を終え,予定していた分析段階へと進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで,調査の実施を推進することを中心に研究を実行してきた。そのため,研究成果を発信することができずにいたが,今後,着実に分析を進め、積極的に研究成果の発表を行っていく。そして,その発表の場での議論をもとに,さらなる分析を行って検討を深めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は調査実施を中心に研究を推進した。そこで,調査結果が得られたのが年度末となり,いまだ年度内では十分な研究成果を公表できる段階には至らなかった。そのため,研究成果の公表に必要な学会参加費,旅費等が未使用となり,残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析を進めることにより,積極的に研究成果の公表を行っていく予定である。したがって,研究成果の公表に伴って必要となる,学会参加費や旅費等を中心に使用する計画である。
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