2018 Fiscal Year Annual Research Report
Features of Lifelong Development of Embodied Self Representation in Spatial Perspective Taking
Project/Area Number |
15K04060
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
渡部 雅之 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40201230)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 空間認知 / 生涯発達 / 視点取得 / 加齢 / 平衡性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のまとめにあたる3つの作業を実施した。 まず、これまでに収集した発達データの有効性を確認し、不足が懸念された高齢期について、新たに54名分のデータを追加収集した。これらを含めた3年分のデータを合わせて分析した結果、高齢期の平衡性機能は、若年成人期から続く姿勢制御方略に基本的な変化はないが、身体図式の統御可能性の緩やかな減退にあわせて動的平衡性がゆっくりと減退していくこと、並行して頻出する運動器の衰えに起因するバランスの喪失を特徴とし、これらへの複数の対処パターンが混在することがわかり、運動機能と認知機能の両面から高齢者の平衡性機能の維持を考えていく必要があることが確認できた。こうした身体性の生涯発達に関する研究成果を、8月にトロント(カナダ)において開催されたInternational Federation on Ageing 14th Global Conferenceにおいて発表し、さらにJournal of Aging Scienceならびに『高齢者ケアと行動科学』に投稿して掲載された。 本研究は、幼児から高齢者までを同一指標で適切に比較することで、身体性を伴う空間的視点取得能力の生涯発達過程を実証し、認知心理学に大きく貢献するとともに、生涯発達心理学研究のよい範例を提供することができた。それは、「心と身体の相伴った成長」について人々の理解を深めることにもつながる。さらには、開眼片脚立位検査は加齢に伴う身体図式の変形機能の低下を敏感にとらえるものであるとする知見が得られたことから、高齢者の福祉・ 医療の質を向上させることにも寄与すると期待される。
|
Research Products
(5 results)