2017 Fiscal Year Research-status Report
キャリアデザイン・ツールの開発―若者の選択、移行、適応支援のために―
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15K04062
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
安達 智子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40318746)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キャリア / 若者 / ジェンダー / コンサルティング / キャリア・カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目となる平成29年度の研究実績は以下のとおりである。 1)前年度に引き続き、介入スキルの習得と情報収集、そして実践者との意見・情報交換を行った。とくに、継続的な関係性のもとに行うキャリアカ・ウンセリングとは異なり、ワンストップサービス、あるいは、比較的短期における問題解決を主眼においてコンサルティングの要素をとり入れながら若者のキャリア支援を行う具体的手法について深化させた。 2)キャリア意識について、大学生・フリーター・無業者の3群間の比較を行い、3つの群で共通した意識の傾向を見出した。また、キャリア意識の得点パターンによる決定プロセスの違いを分析したところ、「ミーイズム型」の若者において自分軸に拘り過ぎによるネガティブな側面が見出された。これらをもとに、仕事経験をもたない若者の自分らしさへの拘ややりたいことへの夢や思いを受け容れながら、それらと社会の接点を若者自身が構築していけるるように支援していく必要性を考察した。 3)若者のワークライフバランスに関する意識について論文にまとめ公刊した。社会に出る前の若者を対象として行った調査データを分析したところ、男女ともに性役割の基本型を反映したかのような伝統的な将来設計をしていることが明らかになった。すなわち、一般的な見解、たとえば「男は仕事、女は家庭」という生き方に賛同する者は減少の傾向にある。しかしながら、いざ自分はとなると若者の将来設計は伝統的なプランへと収束していく。こうした一般意識と「自分」の将来のギャップが何故起きるのか、また、そのギャップをどのように埋めていくことが出来るかについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続いて、キャリア支援の実践場面で役立つスキル群の習得・収集を行い、それらを支援の現実場面でどのように活用していけるかを検討した。具体的な手法の提示やツールへの落とし込みはまだこれからであるが、支援の方向性を考える材料が整備されつつある。また、予定していた論文の公刊と学会発表も実施されたために、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、具体的な支援のスキルの習得と調査データの分析を行う。また、これまでに行った若者のキャリア選択、発達、そして支援についての分析結果をまとめて公刊する。 また、当該研究の前半の3ヵ年が社会に出る前の若者層を主たる対象としていたのにくわえて、後半の2ヵ年は、社会に出て働く社会人にまでターゲットを広げて調査・分析を行う予定である。また、得られた成果について学会発表する予定である。
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Causes of Carryover |
中間的研究成果の発表の一部を次年度に延期したために旅費の未使用額が生じた。平成30年度の学会発表での旅費として使用する予定である。
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