2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の青年における「主体的な人生形成」の様相について
Project/Area Number |
15K04067
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
中間 玲子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80343268)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己 / アイデンティティ / 青年期 / 主体性 / 文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究1)-(1) 相互協調的・相互独立的自己観の発達について検討した。【方法】小学生1,489名,中学生1,224名,高校生2,985名の計5,698名を対象とした質問紙調査。調査内容は,相互独立性・相互協調性尺度20項目など。【結果】[性別×学校種×自己観]の3要因分散分析の結果,どの学校段階においても独立的自己観は男子>女子,協調的自己観は男子<女子であること,また,男子小学生を除いて,独立的自己観<協調的自己観であることが示された。また男女ともに,中学校段階において協調的自己観が最も高まることが示された。【結論】男女いずれも協調的自己観が優勢となる中で自己意識が高まることが明らかとなった。中学校段階において,人間関係の維持を最優先させる形で自律性が高められることが示唆された。 (研究1)-(2) 親の発達期待と自己の抱く理想自己に対するそれぞれの態度について検討を行った。【方法】中学生1,081名,高校生647名,多部制高校生346名,大学生348名の2,422名を対象とした質問紙調査。調査内容は,親の理想自己および自ら抱いている理想自己の内容とそれぞれに対する態度と評価など。【結果】①理想自己の記述数は,男子は親>自分,女子は親<自分であった。②各理想自己に対する「なりたい」気持ちの強さは,全体として親<自分,「あてはまる」に親>自分であった。【結論】親の理想を認知しながらも,自分の理想に対する態度とは異なる態度を示していること,親の理想にはあてはまるが自分の理想にはまだあてはまらない,だが,親の思う理想よりも自分の思う理想により近づきたいと思っていることが明らかになった。 (研究1)-(3) アイデンティティ発達を探求および獲得の2軸からとらえ、その変化の様相を追跡的に検討した。【方法】高校1,2年生を対象に,質問紙調査を行った。【結果】次年度において報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全般的な研究の進捗に関しては,計画通りの調査を遂行することができており,順調といえる。その際,かなり大量のデータを扱うのであるが,作業補助を最低限度では依頼することができ,その入力作業にかかる膨大な時間を少しは節約することができた。また,調査協力校への説明を丁寧に行うことで,次年度以降の協力体制を確固たるものにすることができている。 また,国内外の学会や研究会に参加して有益な情報収集を行うことができており,また,その都度,自身の問題意識についても内々にアドバイスをいただいたり議論を行ったりという場を得ることができている。また,当初予定していなかった海外への学会参加も叶い,国際的な視点から当該課題を対象化する上でも有益な機会とすることができた。 予算については,上記に関することの他,資料収集や必要な消耗品の購入など,研究課題遂行に関する必要なもののために有益に執行している。調査実施に際する郵送費や旅費,印刷費が予定よりも多く必要となったために人件費を削らざるを得なかったが,それでも研究計画を予定通り遂行することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね計画通りに遂行することで問題ないと思われるが,以下のことも考慮に入れた上で研究をさらに推進していく。 まず,現在においても作業補助を依頼することができているが,現状では不足の感が否めない。早急に補助を増やし,順調に研究を遂行する環境を整える必要がある。人件費に関する予算を確保して,当該研究を進めたい。また,内容に関しては,学校文化の問題などを考慮した分析方法の習得が必要となっている。これに関しては,適宜勉強会やセミナーを見つけて参加するという手立てをとる予定である。加えて,これとは別に展開している国内外の共同研究のネットワークを生かし,本研究課題に対する助言を得られる機会を定期的に持てるよう工夫する。 それらを通して,当該研究課題について,できるだけ早く論文として発表できるよう,努力する。
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