2018 Fiscal Year Annual Research Report
Psychological studies for constructing supporting system for young carers in the family with the needs of daily assitance
Project/Area Number |
15K04074
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠矢 浩一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50242467)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 若齢介護 / 心理的健康 / 障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における障がい・疾患を有する家族をもつ子どもが,実際に自身がケア役割を担っていたと認識していたのかどうかや,その認識の違いが,精神的健康にどのように影響していたのかについて知見を得ることを目的とした。Web上で質問紙調査を実施。障がい・疾患を有する家族と暮らした経験のある18歳以上の男女79名,障がい・疾患を有する家族と暮らした経験のない18歳以上の男女100名に調査を実施した。「母親の養育態度尺度」,「きょうだい関係尺度」,「DSRS-C日本語版」を用いて尺度間の関係性を分析した。3つの尺度それぞれについて,因子分析を実施,さらに,抽出された因子と下位尺度得点の関係性について分散分析等を行った。その結果,ケア役割を担うことが自分の時間の持てなさ,家族の健康等への不安などの心理的負担に繋がっていると考えられ,そのようなことが他者に理解されづらく,相談しづらいものであるために不安を抱え込んでしまいがちであると示唆された。また,養育態度の3因子,きょうだい関係の4因子とDSRS-Cの2因子の相関関係を求めたところ,複数の有意な相関関係がみられ,各群に特徴的な結果が確認された。「ケア役割高」群では,きょうだい関係とDSRS-Cで多く有意な相関関係が見られたことから,子どもながらにケア役割を取っていた人々にとって,同じ家族の中の子どもであるという意味で,境遇が近いきょうだいとの関係が支えになり得,互いを信頼し,助け合えるきょうだい関係が,生き生きと活動する基盤となっていると考えられた。また,「家族の障がい・疾患あり」群において,Ward法によるクラスタ分析を行い,家族の障がい・疾患有無にかかわらず,母親が子どもに受容的態度や,時には厳しく,時には優しく関わる態度で向き合うことが,子どもの精神的健康に繋がると考えられた。
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