2016 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のライフスタイルタイプの解明、及び心理社会的支援・活性化モデルの構築
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15K04082
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
河野 理恵 目白大学, 人間学部, 准教授 (40383327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 敦子 目白大学, 人間学部, 教授 (40320767)
讃井 真理 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (20412330)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / ライフスタイル / 個別性 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えている我が国おいて、高齢者を一律に「様々な機能が衰退し、心身共に護られるべき対象」として扱うのではなく、高齢者の個別性を重視した心理社会的研究が必要であると考えらえる。そのため、平成27年度の後半から平成28年度にかけて、高齢者のライフスタイル尺度を作成し、多様化する高齢者のライフスタイルタイプを明らかにする検討を行っている。探索的因子分析(主因子法・プロマックス回転)とクラスター分析などを実施した結果、「こだわり因子」「地域活動因子」「健康志向因子」「余暇志向因子」という4因子解を採用し、高齢者を「積極群(全体的に活動性が高い)」「消極群(全体的に活動性が低い)」「享楽群(こだわりをもった生活をする)」「保守群(地域への貢献を重視する)」「平凡群(全体的にほどほど)」という5つのクラスターに分類した。このことから、今まで思い描かれていた「高齢者」という一括りの枠組みでは説明しきれない、個性豊かな高齢者が実際には存在していると指摘できる。 さらに、作成された高齢者のライフスタイル尺度をもとに、高齢者のライフスタイルごとの詳細な心理社会的特性を把握するために、現在、高齢者400名を対象として調査を実施中である。質問紙には、世代性(ジェネラティビティ)尺度、生活満足感尺度、スピリチュアル健康観尺度、自己効力感尺度、孤独感尺度などが含まれている。特に、これまで中年期の発達課題として提唱されてきた世代性や、あまり触れられることのなかった死後についての意識などとの関連も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の研究状況は、やや遅れていると言える。 今年度の研究目的が「尺度作成」であったため、多くの調査対象者を必要としていた。しかしながら、対象者が高齢者であるため、調査対象者の確保が困難であった。また、高齢者の質問紙への回答にも比較的時間を要した。このように、最初の尺度作成研究に時間がかかってしまったことから、その次に予定していた高齢者のライフスタイルタイプごとの心理社会的特性を把握するための調査の着手が遅れ気味である。 さらに平成28年度は、平成29年度に実施する韓国での調査の打ち合わせなどを現地で行う予定であった。韓国は釜山にある大学で調査を実施するつもりであったが、日本と韓国との政治的問題が生じたり、韓国が情勢不安に陥ったりしたことなどから、メールや郵便でのやりとりにとどまらざるを得ない状況であったため、研究に関する詳細な検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、平成28年度から平成29年度にかけて実施予定であった調査を行っている途中である。研究全体を円滑に進めていくためには、このデータ収集を迅速に終わらせることが最優先課題であると認識している。また、データ収集後には、結果を正確に分析し、高齢者の個別性の提唱をしていくことが急務である。そのため、平成29年度には、引き続き調査を行い、得られてデータの適切な分析と解釈を目指していく。 また、平成29年度後半には作成した尺度を基に、高齢者のライフスタイルタイプごとの世代性(ジェネラティビティ)の検討を予定している。これは日本の大学生と韓国の大学生を対象に行う予定であるが、国際比較のため予期せぬ問題が生じる可能性があると考える。そのため、できるだけ準備を慎重かつ迅速に行い、研究の遂行の遅れが生じないように実施していく。 そして、これまでの3年間で得られた研究結果に基づき、平成30年度には、高齢者のライフスタイルを踏まえた心理社会的支援・活性化モデルの構築を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、予定していた解析ソフトであるSPSSの購入を行わなかったことから次年度使用額が生じた。これは、継続的に研究を実施する際に、データなどの互換性を考慮し、これまで使用してきた統計ソフトを使用することが適切であると判断したためである。 また、韓国への研究打ち合わせを予定していたが、メールや郵送での研究打ち合わせのみしか行わなかったことからも次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、これまで蓄積してきた日本のデータの詳細な分析を行う予定である。そのため、新しい解析ソフトであるSPSSの購入を予定している。また、韓国での調査を予定しているため、その研究打ち合わせのために、旅費を使用する計画である。
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Research Products
(2 results)