2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigations for Critical Thinking Processes and Methods of Facilitating Critical Thinking in Mixed Media Use
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15K04084
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
犬塚 美輪 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50572880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖林 洋平 山口大学, 教育学部, 准教授 (20403595) [Withdrawn]
田中 優子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30701495)
道田 泰司 琉球大学, 教育学研究科, 教授 (40209797)
椿本 弥生 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (40508397)
石原 康臣 大正大学, 表現学部, 准教授 (60557198)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 批判的思考 / SNSコメント / 理解 / 態度変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,メディアの混合利用の例としてテレビ番組へのSNSコメントの提示に注目した。具体的には,専門家の科学的内容の解説に,一般の視聴者のSNSコメントが提示されるテレビの報道番組を模した動画を作成し,その影響がどのように現れるかを検討した。18年度までの実験では,まず,(1)ニセ科学的な主張が別の科学者により否定される場合,実験参加者はニセ科学を否定する方向に態度を変えること,(2)そのときに賛否両論を含むコメントが提示されてもその影響は小さいことが示された。一方で,ニセ科学的な主張を否定する専門家が不在のとき,(3)否定的コメントが提示されるとニセ科学に対する否定的態度が促進され,(4)こうした態度変容への影響は否定的コメントにのみ有意で,肯定的コメントの効果はほとんど見られなかった。 18~19年度には,こうしたコメントへの注目ポイント(あるいはコメントの無視)教示を試みたが,教示の効果は弱く,画面に提示されるコメントの影響を意図的にコントロールすることは難しいことが示唆された。19年度は,17・18年度の実験結果を国際学会(CogSci2019)において発表するとともに,これまでに実施した実験・調査の結果をまとめ,学術論文にまとめ投稿した(2020年5月現在審査中)。 テレビ番組にSNSコメントを提示したときの効果については,メディア研究の文脈で主に研究が実施されてきたが,本研究は,そこに教授学習心理学の視点を取り入れ,日常的学習場面における理解プロセスとして分析を行った点に意義があると言える。また,否定的コメントがトピックについての慎重な態度や批判的思考を促進するきっかけになりうることを示したことは,教育的介入につながる知見として重要である。
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Research Products
(3 results)