2015 Fiscal Year Research-status Report
イヌはなぜ人のベストパートナーになれたか-特化された社会的認知能力の検討
Project/Area Number |
15K04086
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
柿沼 美紀 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00328882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 修一 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (20217326)
大谷 伸代 麻布大学, 獣医学部, 講師 (20454142)
的場 美芳子 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, その他 (90750331)
野瀬 出 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60337623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イヌ / 社会的認知能力 / 遺伝子解析 / 行動特性と遺伝 / 異種間コミュニケーション / 人と動物の関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はイヌの1)社会的認知能力の測定、2)遺伝的特性の検討、3)人の反応の分析の3つの柱で構成されている。 1)に関しては大谷を中心に飼い主とイヌの関係性を明らかにするための実験を実施。家庭犬と研究室で飼育されているイヌを比較したところ、探索、静止状態、一人遊び、社会的遊び、人への注視などの項目は、家庭犬、研究室犬で同様の結果であった。したがって、こういった行動はさまざまな学習の差異による影響を受けにくく、飼い主に対する犬の安心感や愛着を定量化するための安定した指標として考えられる。 2)に関しては、土田がその基礎データとして家庭犬、聴導犬育成施設の候補犬、専門学校のイヌを対象にDNAサンプルを採取した。柿沼がイヌのテレビ視聴を中心に家庭内での行動に関する調査を実施。テレビを見るイヌ、見ないイヌにおいて犬種差及び行動特性の差が見られたことから、関連遺伝子の特定を行っている。DNA解析には長時間の作業を伴うため、実験補助の謝金が大幅に増えた。テレビ視聴の研究に関してはアンケート調査の結果を7月と9月に学会で報告している。また2016年の6月には気質関連のデータとの関係で報告予定である。 3)的場を中心に、研究協力者の渡辺とともに子どもを対象にした動物愛護活動における感想文及び介在教育の感想文の分析を開始。異種間コミュニケーションの視点から分析を実施することを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
柿沼が認知特性に関する調査を飼い主対象に実施している中で、テレビ視聴において犬種による違いが見いだされた。また、セラピー犬などはテレビを見る確立が高いことから、ヒトとのコミュニケーションや適応の目安になることが示唆された。 犬種による違いは、遺伝的要因が影響していることを示唆するものであり、当初の計画を繰り上げて土田とともにDNAのサンプル収集と分析を開始した。遺伝子解析は2年目に重点を置く予定であったが、それを前倒しにした。すでに学会でテレビを見るイヌの特性に関しては発表しており、2016年6月にもさらに気質特性との関連で報告予定である。 人側の動物に対する反応に関しては当初の予定通り進行している。 家庭犬と研究室犬の比較は当初の予定より若干実験項目は少なくなっている。これは柿沼が認知能力の研究の焦点を行動実験からテレビ視聴と気質の調査に移行したためである。現在行動実験は大谷が担当して実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
イヌのテレビ視聴と遺伝子の関連性について重点を置くこととした。行動と遺伝子の研究はこれまでにもされてきたが、あいまいな気質を対象としてきたため、関連遺伝子の特定が難しかった。テレビ視聴の有無は飼い主にも判断でき、サンプル収集を効率よく進められる。この手法を用いることで遺伝子の特定がスムーズになると考える。また、遺伝子の特定は、介助犬やよりよい家庭犬の繁殖、選択にも貢献することが予想される。 社会的認知能力の研究は昨年度の研究を踏まえて継続する。 人側の研究はまだまとまった成果が出ていないため、今年度は分析を中心に展開する。
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Causes of Carryover |
社会的認知能力の測定に予定していた機器購入に変更が生じたため。実験計画を一部変更。一方で、当初の予算よりも謝金(DNA解析の補助)が大幅に増えている。次年度も同様の傾向になる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子解析の実験が予定以上に順調であるため、それを行う為の実験補助者の謝金に利用する。
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