2016 Fiscal Year Research-status Report
疑似体験の場としてのふり遊びの有効性:直接体験や間接体験との比較から
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15K04087
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
中道 直子 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (10389926)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児 / ふり遊び / 学び |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児がふり遊びの中で新奇な食物についての一般的知識を獲得するかどうかを検討した。特に,現実的なふり遊び文脈と非現実的なふり遊び文脈を比較し,幼児が後者より前者の文脈で新しい情報を学ぼうとするかどうかを調べた。実験では,幼稚園年中児23名(平均=60.64か月),年長児22名(平均=72.05か月)の計45名を対象とした。参加児に,映像中の大人が,玩具によって見立てられた食べ物を食べるふりをする様子(現実的ふり場面)や,非食べ物を食べるふりをする様子(非現実的ふり場面)を見せた。その映像に連続して子ども達は,同じ大人がふり遊びの中で新奇な事物の食用性と味に関する情報を提示(例:Xと命名した粘土を食べるふりして,酸っぱいと言う)のを見た。最後に子ども達は,本物のXの写真の同定(食べ物か道具)とその食用性,さらに味についてのテスト質問を受けた。この一連の流れを,1人の子どもにつき,現実的ふり場面で3施行,非現実的ふり場面で3施行の,計6施行を実施した。その結果,次のことが示された。(1)大人が食べ物を食べるふりをしている現実的なふり遊びの場面に比べると,別の大人が非食べ物を食べるふりをするという現実から逸脱しているふり遊び場面の方で,幼児は新奇な事物の食用性や味の情報を,現実世界でも使える一般的な知識とみなしにくい。つまり場面の切り換えは可能なようである。(2)切り換えは可能であるものの,どちらの場面でも幼児は,大人が食べるふりをしていた新奇な事物として,「食べ物」の写真を選ぶ傾向があった。しかしながら,幼児は現実的なふり遊び場面を見た場合に,それを本当に「食べられる」と判断しやすかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた実験を遂行することはできたが,実験の精度が安定せず想定された結果が示されなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
同一被験児に,大人が現実的なごっこ遊びをする場面と,非現実的なごっこ遊びをする場面の両方を提示し,幼児が後者より前者で示された情報を現実世界でも汎用可能な知識とみなすのかを検討する。
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Causes of Carryover |
実験の精度が安定せず,想定された結果が示されなかったため,研究成果の発表ができなかった。そのため,予定していた国際学会への渡航費や,英文校正費を使用することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に英文校正費として使用する予定である。
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