2016 Fiscal Year Research-status Report
達成目標が前頭葉賦活に及ぼす影響 -実行機能課題とfNIRSを組み合わせた評価-
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15K04092
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 あゆみ 同志社大学, 心理学部, 教授 (00373085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 直己 三重大学, 教育学部, 教授 (20452518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動機づけ / 達成目標 / 実行機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は,達成目標と実行機能の関連を検討する実験として,昨年度の第一実験に時間制限の設定を加えた第二実験を行ったことである。実験の参加者は,大学生127名(男性52名,女性75名)であった。 実験の結果,他者よりよい成績となることを目指すパフォーマンス接近目標条件において,練習より成績がよくなることを目指すマスタリー接近目標条件および練習より成績が悪くならないことを目指すマスタリー回避目標条件と比較して,難易度の高い試行での正答率が下がるという第一実験と同様の結果が得られた。 この結果は先行研究(例えばCrouzevialle & Butera, 2013)を支持するものであるが,そこでは,パフォーマンス接近目標が課題パフォーマンスを低下させる理由について,他者からの評価を受けることによるプレッシャーがワーキングメモリーに干渉するためと指摘されている。この評価プレッシャー仮説が正しいのであれば,他者と比較して悪い成績とならないことを目指すパフォーマンス回避目標条件においても課題の成績低下があるはずである。しかし,第一実験と同様に,本実験においても,パフォーマンス回避目標条件で正答率および反応時間のいずれの指標に対してもパフォーマンスを低下させる効果はみとめられず,逆に,反応時間が短くなる傾向があった。この結果から,パフォーマンス接近目標の影響について,評価プレッシャーによる作用とは異なる解釈が必要であることが示唆された。 さらに,マスタリー回避目標条件においては,第一実験と異なり,難易度の高い試行で反応までの時間が統制条件と比較して長くなった。時間制限というストレスが加わることにより,達成目標の影響が変化するという新たな知見が得られたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,達成目標と実行機能の関連を検討するための実験パラダイムを確立することができ,パフォーマンス接近目標による負の影響を再現することができた。ここから,fNIRSにて脳賦活への影響を検討するための基礎的なデータはそろったと言えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,達成目標と実行機能の関連,特にパフォーマンス接近目標と課題遂行との負の関連性が,脳賦活にどのように反映されるのかをfNIRSを用いて検証する。さらに,実行機能を測定する指標を追加して検討を行う。
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Causes of Carryover |
fNIRSによる脳賦活測定を含む実験を今年度にまとめて実施予定のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に実験参加者への謝金,fNIRSに関する専門的知識の供与に対する謝金,また,学会での成果発表の費用として使用する。
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[Journal Article] Altered frontal pole development affects self-generated spatial working memory in ADHD.2017
Author(s)
Arai S, Okamoto Y, Fujioka T, Inohara K, Ishitobi M, Matsumura Y, Jung M, Kawamura K, Takiguchi S, Tomoda A, Wada Y, Hiratani M, Matsuura N, Kosaka H.
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Journal Title
Brain Dev.
Volume: 38
Pages: 471-480
DOI
Peer Reviewed
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