2015 Fiscal Year Research-status Report
メッセージフレーミング効果の世代間伝達:メッセージの送り手と受け手の親子関係
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15K04100
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Research Institution | Niigata Chuoh Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 宏之 新潟中央短期大学, その他部局等, 准教授 (80389949)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メッセージ / 言葉がけ / フレーミング効果 / 親子関係 / 保育 / 養育 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「メッセージフレーミング効果の世代間伝達:メッセージの送り手と受け手の親子関係」の基礎となる知見として、親子の養育意識の一致度を検討し、その成果について論文を執筆した。論文は現在審査段階にある。 同じく本研究課題の基礎知見として、メッセージフレーミング効果を引き出すための言葉がけ方略に着目し、幼児の保護者の言葉がけ方略と保育者の言葉がけ方略を比較検討した。その成果について、表題を「Preschool Children: Social Skills, Educational Development and Health Disparities」とする書籍に分担執筆した。 メッセージフレーミング効果を引き出す言葉がけに関しては、これまでアンケート調査により仮想場面を検討してきたが、より実際の養育場面に則した言葉がけを収集・分析するために、保育現場での保育者の言葉がけを観察記録した。この調査は本来の計画では予定していなかったが、今後の研究課題を効率的に進める上で必要なデータ収集として実施することにした。保育者16名を対象として、午前中2時間程度音声と映像を記録した。その結果、促進的な場面と予防的な場面において、それぞれどのようなフレーミング方略で言葉がけをしているか検討したところ、保育者の年齢や子どもの年齢に関わらず、全般的にはネガティブなフレーミングの言葉がけが用いられること、そして促進場面ではポジティブなフレーミング、予防場面ではネガティブなフレーミングの言葉がけが見られることを見出した。この結果はこれまで申請者が報告してきた制御適合の関係性と一致するものである。この成果については平成28年度日本教育心理学会にて報告を行う。 以上の成果をふまえながら、メッセージフレーミング効果の世代間伝達に関する予備的な調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎知見となる研究成果について2報の論文がそれぞれ審査段階、出版準備段階にある。 当初予定のなかった観察調査のデータ分析を進めながら、フレーミング効果の親子間伝達の予備的調査および幼児を対象としたフレーミング効果実験の準備を進行しており、研究計画は概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、フレーミング効果に関する親子間伝達に関するアンケート調査を引き続き継続すると共に、前年度実施した観察調査による音声データについて、内容分析、テキストマイニングを施して言葉がけのフレーミング特性を精査する。これらの成果が幼児を対象としたメッセージフレーミング効果実験に活かされる。 幼児を対象としたメッセージフレーミング効果実験には、保育所・幼稚園の協力と学生の実験補助が不可欠である。そのため、保育所・幼稚園の繁忙期、学生の実習期間や長期休暇など、時期的な制約を受ける中で実験を遂行していかなければならない。 実験・調査・分析・学会発表・論文執筆について、研究協力者の林洋一郎慶應義塾大学准教授と栗原ひとみ植草学園准教授と緊密に意見交換・打ち合わせを行う。
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Causes of Carryover |
コンピュータと統計パッケージソフトを初年度の予算に計上していたが、Windows10への移行を慎重に行う理由から購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度にコンピュータと統計パッケージソフトを購入して、繰り越し分を使用する予定である。
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