2018 Fiscal Year Research-status Report
大規模公的試験の解像度分析と資格試験データベースの整備に関する研究
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15K04102
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
荘島 宏二郎 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (50360706)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テスト理論 / 潜在ランク理論 / 項目反応理論 / センター試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
潜在ランク理論(latent rank theory)を用いて、大学入試センター試験の解像度分析を行うことが本科研費研究の主旨である。また、分析を通じてデータベースを構築することが本研究の目的である。潜在ランク理論とは、学力を段階評価するためのテスト理論である。また、解像度とは、テストが、何段階で評価できるかを示す統計的指標である。 本年度は、理論的には、潜在ランク理論の設計に関する新展開を模索した。当初目的では、科研年度の最終年度に行うことではなかったが、重要な発展を期待できるため取り組んだ。具体的には、双方向クラスター分析(biclustering, coclusterin)とベイジアンネットワークのメカニズムを潜在ランク理論に組み込めるかどうかを検討した。また、専用ソフトMathematicaを用いたソフトウェア開発に着手した。理論的統合が可能であれば、新しいテストデータ解析手法の開発につながる。これは、テストデータ解析に新しい選択肢をもたらすことになるので有益である。引き続き、次年度も検討を続ける予定である。 応用面では、2018(平成30年)年1月実施のセンター試験の「英語(筆記)」試験と「リスニング」試験を中心に分析を行った。成果の一部は、第58回英語教育メディア学会、大学入試センター内の作題部会に報告するとともに、大学入試センター報告書や東京大学高大接続研究開発センター主催シンポジウム「大学入学者選抜における英語試験のあり方をめぐって(2)」などで発表し、多くの方々に関心を持っていただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来、本研究の主旨はデータベースを作成するところまでが範囲であるが、理論的研究の深化を優先することに傾注しており、データベース作成が着手できていない。しかし、研究開始時には予期できなかった理論的な深化であり、理論的研究を行っている中で気づきえたことであった。そのため、理論的研究を引き続き優先させることはゆくゆくの応用研究やデータベース作成においても意義が大きいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的研究における深化が見込めそうであるので、こちらを推進したいと考えている。成果の発表は、国内では行動計量学会やテスト学会、海外では19th European Conference on Developmental Psychology (ECDP) などを考えている。
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Causes of Carryover |
当初計画では、データベース作成に着手する予定であった。しかし、研究スタート時には気づかなかった理論的深化の余地があり、こちらを優先させるほうが有益であると判断したため、研究費の使用目的と順序に変更を行ったため。
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Research Products
(4 results)