2016 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケア家族の死別反応予測因子の検討及び精神支援の有用性に関する研究
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15K04108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 秀光 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40215554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 知宏 尚絅学院大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30626875)
中保 利通 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 特任研究員 (40323000)
佐竹 宣明 東北大学, 大学病院, 助教 (20723208)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 家族支援 / 家族心理教育 / 緩和ケア / アンケート調査 / ビリーブメント / 精神的健康度 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
「緩和ケア家族教室参加者のリスクアセスメントに関する研究」では、東北大学病院緩和ケア病棟で実施している家族教室の参加者4名に対して、ビリーブメントリスク・アセスメントツール(以下BRAT)を実施し、あわせて精神的健康度(以下K6)、レジリエンス(以下TRS)を測定した。4名とも60代の女性で、続柄は、配偶者2名(いずれも妻)、きょうだいが2名(妹と姉)だった。K6の平均点は6.25で、いずれもリスク外(10点以下)、レジリエンスの平均得点は52.0だった。BRATによるビリーブメントリスクは、レベル2(リスク最少:1~3点)が2名、レベル3(リスク小:4~15点)が2名だった。これまでのデータとあわせた50名分のデータを最終年度に総括する予定である。 「死別後の家族に対するアンケート調査」では、東北大学病院緩和ケア病棟に入院していた患者の家族を対象に、退院後のアンケート調査を実施した。アンケートでは、緩和ケア家族教室に関する意見のほか、K6および死別対処尺度も測定した。緩和ケアに対する感想、意見についても自由記述形式で求めた。253名に郵送し、119名からの回答が得られた。緩和ケア家族教室の参加者が12名、不参加者が102名だった。心理尺度を用いた横断的調査からは、K6によるスクリーニングでは29名(24.4%)がハイリスクだった。また、K6と死別後対処では、故人との絆保持の対処が強さと精神的健康の悪さが相関していた。心理尺度を用いた縦断的調査(連結対象は7名)から、家族教室実施時のレジリエンスが40点以下であった3名中2名がフォローアップ時のK6でハイリスクに該当し、BRATおよびレジリエンスがフォローアップ時の精神的健康を予測する上で有用であると示唆された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度で終了する「緩和ケア家族教室参加者のリスクアセスメントに関する研究」では、研究に協力の得られた実施者は4名で、総計50名となり、当初予定の60名には達しなかった。 今年度と次年度で行う「死別後の家族に対するアンケート調査」では、当初100名の回答を予定していたが、今年度だけで119名からの回答が得られた。なお、家族教室に参加した家族のみに任意の記名式による連結可能匿名化での縦断的調査で、今回のアンケート調査で連結できたのは7名だった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度もアンケート調査を実施し、横断的調査ではさらに回答を増やす予定である。また、縦断的調査では、1人でも多くの家族教室参加者の協力を得て、回答数を増やす予定である。それを踏まえて、今年度で終了した家族教室参加に行った心理アセスメントの結果と併せて、研究を総括する予定である。
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Causes of Carryover |
家族教室への参加者が昨年度よりも少なかったために、人件費・謝金の金額が少なくなった。また、学会発表は2回行ったが、論文執筆には至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度で終了した家族教室参加者に行った心理アセスメントの結果と今年度と次年度予定のアンケート調査の結果を踏まえ、国際学会での発表および論文執筆により、研究成果を公表するための予算としたい。
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