2017 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症患者の就労の予測因の解明:機能転帰の連続性に基づく検討
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15K04109
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
住吉 チカ 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20262347)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 機能的転帰 / 統合失調症 / 認知機能 / 労働状態 / 確率予測モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【概要】 本研究の目的は、①統合失調症患者を主とする精神疾患患者の労働状態の予測因を明らかにする、②就労の予測因間の関連を明らかにする、③機能的転帰と高次認知機能改善との連動について検討する、である。平成28年度までに③まで達成しており、平成29年度は、労働状態の予測因を用いて実際に統合失調症患者の労働状態について予測を行った。
【主な知見】 平成28年度までに、社会機能・知能低下・精神症状が患者の労働状態を予測因であることを明らかにしている。これら変数を用いて、ロジスティック回帰分析から得られた対数オッズ予測式に基づき、患者毎に0・10・20・30時間/週以上働ける確率について求めた。予測の精度は総じて良好であるが(平均70%程度)、長時間の基準ほど予測は正確であった。 本研究で用いたような、確率的手法は、統合失調症の労働状態の予測において、統計的・臨床的・機能的転帰の概念の観点から有用だと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究協力機関からのデータ収集・整理が円滑に行えたため、現時点で【概要】に挙げた③まで、ほぼ達成できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
「主な知見」で述べたように、予測の精度は比較的良好である。しかし、比較的高機能(精神症状が軽度、知能低下が見られない、社会機能を保っている)な患者は、機能的転帰変数、臨床的変数以外の要因が関与している可能性が高く、予測の精度が低い可能性が考えられる。今後、患者の機能度により精度が異なる可能性について、機能度ごとに患者を群分けし予測精度の比較・検討を行う。 本研究では、比較的短期間(最近3か月)における労働状態を予測の対象とした。より長期(1年以上)では、本研究で明らかにした以外の要因が、労働状態の予測に重要である可能性も考えられる。今後、労働状態の維持(一定時間の労働を長期継続している)に寄与する要因について検討したいと考える。
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Causes of Carryover |
当初、データ処理・解析のためのコンピュータ、及びソフトウェアの補充を想定していた。しかし、今年度の残額では、相応の機器購入は難しいと思われ、次年度の購入検討として、持ち越すことにした。
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Research Products
(4 results)