2018 Fiscal Year Research-status Report
離婚母子家庭の子どもと、別れて暮らす父親との面会交流に関する心理学的縦断研究
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15K04111
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
堀田 香織 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10251430)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 母子家庭 / 離婚 / 父子面会交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は離婚(非婚・未婚)母子家庭の子どもと父親との関わりについて調査を行い、長期的に見て父親の存在・関わりが子どもの心理的成長にどのような影響を及ぼすのか検討するものである。2015~2016年度は、母子家庭の子どもを対象としたインタビューにより、父親との関わりを肯定的にとらえる男子学生のアイデンティティ形成について検討を行い、さらに、臨床場面における事例をもとに、心理的問題を抱えた思春期女子の父親不在についての葛藤とそれを乗り越えるプロセスについて検討を行った。 2017~2018年度は量的調査として、母子家庭の二つの団体に所属する母親256名を対象とする実態および意識調査を実施した。その結果、①39.5%の回答者が父子面会交流を実施し、59.8%が実施しておらず、実施していない回答者が実施している回答者を上回る結果であった。②2011年民法改正により面会交流は「子の利益を最優先に考慮すべき」とされたが、今回の調査では面会交流について子どもの意思確認を行ったのは離婚/別居の場合22.4%に過ぎなかった。③面会交流を実施している母親に、面会交流が子どもの成長に役に立っていると思うかどうかを尋ねたところ、役に立っていると答えた回答者が57.4%で、役に立っていないと答えた39.6%を上回った。④面会交流を実施しているか否かに関わらず、全回答者を対象に、父子面会交流が子どもにとって必要だと思うかどうか尋ねたところ、調査時点で43.0%が必要度を肯定的に認識していた一方、50.8%が否定的な認識であり、否定が肯定を上回る結果となった。⑤母親が子どもにとって面会交流が必要であると認識しながらも、面会交流に至っていない回答者が全体の17.6%おり、その逆のパターン、つまり面会交流が子どもにとって必要ないと認識しながらも、面会交流を実施しているという回答者は13.3%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子どもを対象にしたインタビュー調査に加えて、母親を対象とした量的調査を行うことに成功し、計画全体としては順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
量的調査の解析を継続するとともに、母子家庭の母親を対象とした面接調査を継続的に行い、研究全体をまとめる。
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Causes of Carryover |
面接調査を踏まえて、2018年度に行ったアンケート調査の追加分析を行うこととしたため、面接調査の逐語録作成と、アンケート調査の量的分析のための予算を次年度に残しました。
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