2015 Fiscal Year Research-status Report
Well-being尺度日本語版の開発と日本人における実態解明
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15K04121
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷲見 克典 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70242906)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | well-being / 測定尺度 / 日本語版 / 日本人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は日本人のwell-beingの現状を把握することである.Well-beingは国際比較を可能にするためにも,国際的に利用されているwell-being尺度によって評定することが望ましい.そこで最新の国際的なwell-being尺度について,日本語版を開発することからはじめる必要がある.初年度である平成27年度はこのwell-being尺度の日本語版を開発することを目標とした. そこで本年度は,まず,研究協力者の協力を得ながら,well-being尺度の英語原版の質問項目をback-translationの手法を用いて日本語化したものを,大学院生数名から聴取した日本語表現等への意見を加味するなどを通じて,もととなる日本語訳を作成した.さらに,この日本語訳の精神測定学的特性を評価するために必要となるデータを,学生を対象とした質問紙調査から得る作業を行った. 調査に含まれる項目は,当該尺度の日本語訳に,年齢,性、学年と言った人口統計学的変数が加えられた.さらに,妥当性を検証するためのいくつかの関連尺度を含めた.日本語訳されたwell-being尺度とこの関連尺度との得点間の関係を明らかにすることが,本研究課題における1つの要点である.関連尺度としては,大別して,当該well-being尺度とのポジティブな関係が予想されるものと,ネガティブな関係が予想されるものがある.前者には,他のwell-being尺度がある.後者としては,抑うつ,不安,心理的ストレスといった症状等がある. また調査は尺度得点の時間的安定性(再検査信頼性)を確認するために,同一対象者に対して時間をおいた2度にわたる調査機会において実施された.こうした調査は現在継続中であり,平成28年度も実施予定である,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度である平成27年度の当初予定は,well-being尺度について日本語版を開発することを目標としていた.しかしながら,日本語版の開発には至らなかった. これには,well-being尺度の英語原版を日本語へ翻訳する作業にやや手間取る面があったことがあげられる.また,日本語化した尺度について,その心理測定学的特性を明らかにするために行うべき質問紙調査がはかどらず,思うようにデータを得ることができなかった.つまり,適切な質問紙調査を通じて,十分なデータを得ることができなかった. これらの主な原因は,本研究課題以外の業務に対して,当初予想した以上に時間をとられたことが最も大きいといえる.さらに,質問紙調査の実施機会を得ることが,想定以上に困難となってしまったこともある.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる平成28年度の当初計画は,初年度に開発した日本語版尺度を用いて,研究協力者の協力を得ながら,大学生,就労者,主婦など,可能な限り幅広く,多数の対象者に対して質問紙調査を行うことであった. しかし,初年度の目標が達成されなかったことから,平成28年度はなによりも初年度の遅れを取り戻すことに注力する.この目標が達成された後に,well-beingの実態を把握するための調査とデータの分析を実施していく.また,分析結果は可能な限り学会発表等を行い,さらに論文投稿の準備作業を速やかに進めていく.
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Causes of Carryover |
次年度(平成28年度)使用額が生じた主な理由は、当初予定していた計画通りに調査が進捗しなかったことにある。初年度(平成27年度)の予算は、本研究課題全般の遂行に必要な物品等として、初期に購入すべきものにあてる部分が多くを占めたことから、相応の予算費消は行った。しかし、平成28年度の目標が達成できなかったことによって、実施できなかった研究活動に当てるべき予算の利用が滞った。また、平成28年度の目標が達成されることで可能となる予定であった、研究成果の公表に必要とされる予算も、利用できなかった。これによって、次年度使用額が生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(平成28年度)使用額がの使用計画は、まず初年度(平成274年度)に未達成であった研究を実施するために必要な活動の実施に伴い、時間的にはその実施に合わせた支出を行う。加えて、多くの場合、そうした初年度未達成の研究分への支出の後に、当初予定されていた平成28年度の研究に必要な物品等への支出を行う計画である。
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