2018 Fiscal Year Annual Research Report
Human strengths and psychological support: An examination from the viewpoint of respecting individual dignity
Project/Area Number |
15K04138
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
堀毛 裕子 東北学院大学, 教養学部, 教授 (90209297)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポジティブ心理学 / 心理学的支援 / 心理学的介入 / 人間の強み(strength) / ポジティブ臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東日本大震災の体験や乳がん患者に対する研究知見を踏まえて、支援対象となる個人が持つ自尊心や強みを損なうことのない、ポジティブな力や強みを生かした心理学的支援のあり方を考えることであった。2018年度には、個人の力を尊重する支援のあり方について考察をまとめるとともに、さまざまなつらい体験を持つ一般成人を対象としたオンライン介入調査や、乳がん患者を対象とするアンケート調査を行った。オンライン調査は、当初予定していた被災者に関する介入研究が難しい状況となったため、それに代わって実施したものである。 オンライン介入調査では、筆者の先行研究(平成23~26年度科研費)に基づくポジティブエクササイズについて4週間の実施を求め、デモグラフィック変数とともにエクササイズ開始前後のsense of coherence(SOC)や幸福感などの心理尺度との関連を検討した。その結果、特にSOCの有意味感はエクササイズ実施回数とともに有意に増加することや、4週後の幸福感を従属変数とする重回帰分析でSOCや世帯年収等とともにエクササイズ実施回数の多さが有意な正の影響を与えていることなどが確認された。また支援を受けることについては、被援助志向性尺度(田村・石隈, 2001)と心理的問題について専門的援助を求める態度(植松ほか, 2013)の計21項目の因子分析から、援助希求・援助への抵抗感・専門家への期待・自己解決志向の4因子を抽出した。これらの態度には性差があり、さらにつらい体験を喪失・社会的被害・社会的困難・被災の4つに分類して援助の各下位尺度得点の一元配置分散分析を行った結果、体験の種類により援助に対する態度は異なっていた。協力病院の患者会を対象とした乳がん患者の調査は事情により開始が遅れ、結果はまだ分析中である。2つの調査の結果は今後の各種学会で発表し、適宜論文化していきたい。
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