2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K04151
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤野 京子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10386568)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女性 / 財産犯 / 仮釈放者 / 成人 / ナラティブ / 人生物語 / 将来展望 / 更生保護法人 |
Outline of Annual Research Achievements |
更生保護法人に在所中の女性財産犯に自身の人生物語に係るインタビューを、Maruna(2001)同様、Foley Longitudinal Study of Adulthood (FLSA)に基づいて行った。具体的には、各人2時間程度をかけて、1.自身の人生を2~7章の章立てで紹介するとして、その章立てと簡単な内容、2.以下①~⑧の光景なりエピソードなりの具体的内容とそれが人生で重要である理由(①人生の中で特に良い経験、②特に悪い経験、③転機、④子供時代の良い記憶、⑤子供時代の悪い記憶、⑥成人以降の非常に鮮明な記憶、⑦賢く振る舞えた出来事、⑧自分以外の力が自分に宿っていると感じる出来事)、3.将来の筋書き、4.これまでに出遭った問題やそれに対する挑戦なり努力(①最も挑戦したこと、②自他の健康に関連したこと、③喪失体験に関連したこと、④人生における最大の失敗ないしは後悔)、5.個人の観念様式(宗教観、関心のある社会問題や政治・政策への意見、それらの変遷、人生において最も大切な価値観)について、想起されることを自由に語ってもらった。 また、その語りの内容とEriksonが主張する心理社会的段階との関連を検討するためEPSIを測定した。また、公的記録をもとに本件の内容や本件に至る経緯についての情報を得ると共に、対処方略尺度TAC-24を用いて、物事への取り組み方の特徴を測定した。さらに、逸脱行為への調査協力者自身のとらえ方を明らかにする目的で、自己本位、仲間的セケン、地域的セケン、社会全体の公共の利益や公平性の概念(菅原他,2006)に相当する項目、及び、Walters(2013)のThe Psychological Inventory of Criminal Thinking Styles (PICTS)が測定する各特性に相当する項目を今回新たに作成の上、測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本調査を実施するにあたって、学内の倫理審査委員会の承認を得るのに若干の時間がかかり、調査は8月から開始された。加えて、調査協力を依頼している更生保護法人において、昨年度は全般に収容減となり、それに伴って調査対象者である財産事犯者の収容者数も減った。そこで、調査対象者に該当し、かつ、調査協力の意向のある者の人数は当初1年目に面接を予定していた調査協力者数には、達しなかった。 また、更生保護法人在所期間中の面接には応じるものの、追跡調査には協力しないとの意思を示す者、あるいは、追跡調査に同意はしたものの中途で連絡が途絶える者が存在すると計画当初から懸念され、その場合には、追跡可能であった者とそうでない者に面接調査でどのような差異が見られたかを検討することを考えていたが、実際に調査を始めてみたところ、これまでのところ大半が追跡不能に分類される結果となっている。したがって、収集したデータの内容分析の方法については、受刑が初入である者と再入である者との違い、あるいは、収集した心理尺度の得点をもとに比較することなどを検討しているところである。 このほか、Maruna(2001)の調査結果では、過去の犯罪歴よりも自身の今後の人生をどのようにとらえるかで再犯するかどうかに違いが見られるとの結果が提示されているが、今まで収集したデータにおいては、自身の今後の人生をどのようにしたいかについて十分に語ることができる者が非常に少ない様子が観察されている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度同様の方法で、引き続きデータを収集することを計画している。 加えて、上述のとおり追跡調査が実質的に難しそうであるので、本調査の財産犯の対象群ということで、女子の更生保護法人に在所する他の罪種の者にも調査枠を広げることで、財産犯の特徴を明らかにすることを計画している。
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Causes of Carryover |
学内での倫理審査によって、本研究開始が認められるまでに若干の時間を要したこと、及び、調査協力を求めていた更生保護法人の収容者が減ったことで、調査対象者数の数が限られていたため、調査に伴う経費の支出が当初見込まれていたものよりも少なかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査対象者の確保を工夫する。現在は、1更生保護法人に調査協力を求めているところであるが、他の女性を収容している更生保護法人で調査協力を求められるかの可能性を探る。 また、女性受刑者のうち、更生保護法人に帰住する者の特性を明らかにするために、女子刑務所で実際に処遇している職員へのインタビューを行うなど、刑務所に出向き、実態調査を実施する。
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