2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04157
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山田 麻紗子 日本福祉大学, 福祉社会開発研究所, 客員研究所員 (90387746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小平 英志 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (00442228)
渡邊 忍 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (50634606)
橋本 和明 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (80434687)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 重症度の高い児童虐待事例の実態 / 重症度の高い児童虐待事例への効果的支援 / 児童虐待事例支援取り組みの海外との比較 / 児童虐待における虐待者の特徴次元 / 児童相談所職員の対応の困難度 |
Outline of Annual Research Achievements |
1名古屋市児童相談所(中央・西部)が、平成27年度に受理した児童虐待対応全事例2,362件中、重症度の高い全事例702件について、①アンケート調査を実施、②収集したデータの分析・検討、③②に基づき、過去の実態調査(平成18,22,24年度)と比較し、重大事例の実態内容をまとめた。これにより、最新のデータの入手と重大事例の実態特徴の把握や内容を深めることができた。調査に当たっては、所属大学の「人を対象とする研究」に関する倫理審査委員会に計画等審査を申請し、承認を受けた。 2韓国(ソウル市)にある児童福祉及び児童虐待防止・保護・支援に関する機関等を10ケ所視察し、①各機関の機能や実践内容、②司法・行政(国・地方自治体)・警察・機関との連携や協働の実際などを学ぶことができた。それぞれが予想していた以上に充実していて、日本の児童虐待取組みに示唆を受ける内容であった。 3①日本子ども虐待防止学会「第22回学術集会おおさか大会」で「重症度の高い児童虐待事例の実態と効果的支援の研究(1)」、「同(2)」の2つを口頭発表、②上記1,2の内容をまとめ、名古屋市児童相談所職員研修、児童福祉の専門家等の研究会で発表、③『子どもと福祉』第10号に、海外の社会福祉事情 第5回「韓国、ソウル市における児童虐待、児童福祉の現状と課題―10か所の視察等をとおして―」の投稿、④「死亡事例検証から見た児童虐待の課題」『家庭の法と裁判』9号に投稿して、成果を伝えることができた。 4名古屋児童虐待研究会を年度内に26回大学内で開催した。そこでは、①上記1~3を実施するための準備、②研究者同士の意思疎通や役割分担の取り決め、③内容やまとめの検討等を行ったため、円滑に実践を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1重大児童虐待事例のアンケート調査の実施は、当初平成24年度を対象にしていたが、名古屋市児童相談所との連携や信頼関係の構築が進み、協力が得られて、平成27年度も対象に実施することと最新のデータの入手ができた。また、それに基づいた実態内容等の分析・まとめ・考察を行うことができた。 2韓国(ソウル市)視察では各機関を訪問し紹介を受けただけでなく、①カンジン区教育支援庁及びカンジン教育福祉センターとの合同セミナー、②ソウル家庭法院の児童虐待対応裁判官及び家庭法院調査官との意見交換会などを2時間にわたって実施し、貴重な情報が入手できた。また、③児童虐待対応の中心的担い手である中央児童保護専門機関及び性的虐待や性犯罪の被害者の医療・福祉・心理・司法等が一体となって支援を行っているひまわり児童センターとは、視察後も研究を視野に入れた継続的交流を持つことができている。2つの機関とは今後の研究課題を推進するために連携し、互いに重要な示唆を受け合う関係の構築が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1公開パネルディスカッション・研修会等では韓国保健福祉部中央児童保護専門機関(ソウル市)の公的連携・協働チームの代表であるホン氏を講師に招聘し、以下の内容で実施する。①テーマは「(仮)韓国と日本の子育て文化と子育て支援―児童虐待対応を巡って―」、②川松 亮氏(子どもの虹情報研修センター)も出席承諾済み、③日時場所:平成30年1月27日(土)、会場は名古屋キャンパス8階 2報告書のまとめと執筆では研究成果報告書を、①名古屋市調査と結果、②韓国・アメリカの視察報告をまとめる。他に③リスクアセスメント票改正への提言をまとめる。 3研究誌への投稿は、既に執筆した「児童虐待における虐待者の特徴次元と児童相談所職員の対応の困難度」は5月上旬に投稿を済ませた。「韓国視察報告」も加筆修正して、5月下旬までに投稿する。
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Causes of Carryover |
韓国視察にかかる支出をできるだけ安価に抑えたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際比較研究のための韓国視察に関する交通費、宿泊代、視察先等への謝礼等、重大児童虐待の調査費用、基礎データの集約費用、学会等への出席の交通費、印刷費等に使用する。
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