2015 Fiscal Year Research-status Report
軽度抑うつ症状を有する高齢者に対するライフレビュー法の効果に関する研究
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15K04158
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
志村 ゆず 名城大学, 人間学部, 准教授 (90363887)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抑うつ症状 / ライフレビュー法 / 効果評価 / 予備的研究 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の全体の目的は軽度の抑うつ症状を有する高齢者に限定し、ライフレビュー法を実施し効果を検証することであった。具体的には統制条件として社会的支援群、待機的条件群を設定する。各条件において心理的指標を用いて心理統計学的な観点から比較し効果値を算出する。実施した事例に関しての高齢クライエントとセラピストとの相互作用の分析を通じて介入セッションの改訂を行い効果を検証することであった。 平成27年度にはA市内の高齢者大学校の受講生を対象にして大規模調査を実施し、軽度抑うつ症状を有する65歳以上の高齢者を対象に抑うつ症状の簡易的質問項目を組み合わせた質問紙を用いたスクリーニングによる予備的研究を行った。CES-Dを抑うつ得点として、566名(男性223名、女性292名、平均年齢68.5歳 SD4.5)を対象にして分析を行ったところ、全体で74名(17.7%)、男性では26名(13.8%)、女性では47名(20.1%)が抑うつ状態ありと判定された。GDS‐SJでは69名(14.4%)が抑うつ症状ありと判定され、男性では27名(13.3%)、女性では41名(15.2%)が抑うつ状態ありと判定された。対象者と判定された人の中で「再調査に協力できる」と回答した人に郵送による面接への依頼状を送り、承諾した人を対象に、研究参加希望者に予備面接を実施し、障害の有無などスクリーニングにおける除外基準に合わせて対象者を選定した。対象者に予備面接を行い、a.対象者のスクリーニング方法を再検討すること、b.面接方法についての調整と見直しを行うこと、c.HPとリーフレットの調整を行うこと、d.自分史の記録方法の統一化を行うこと、などを検討することができた。以上の予備的研究によって研究を実施する前の重要な準備を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度に実施した予備調査、予備面接によって研究を実施するために必要な手続きを検討することができ、課題を明確にすることができた。A市内の高齢者大学校の受講生を対象にして大規模調査を実施し、軽度抑うつ症状を有する65歳以上の高齢者を抑うつ症状の簡易的質問項目を組み合わせた質問紙によって、スクリーニングによる予備研究を行った。 軽度抑うつ症状を有している人は、CES-Dを抑うつ得点として、全体で17.7%、男性では13.8%、女性では20.1%と判定された。GDS‐SJでは14.4%が抑うつ症状ありと判定され、男性では13.3%、女性では15.2%と判定された。このことから、スクリーニングに用いる尺度を絞り、より大規模な調査を実施することを課題として検討することができた。また予備面接からも介入方法を調整することができ、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
CES-Dを中心に据え、障害の有無などの要素を盛り込んだ質問紙調査を行い、平成27年度よりも大規模なスクリーニング調査を行う。障害の有無などのスクリーニングにおける除外基準に合わせて対象者を約30名選定する。対象者を性別、年齢、CES-Dの得点によってマッチングを実施し、3群に10名ずつの無作為割り付けを行う。 ライフレビュー群(以下LR群)では2週間に1回、90分間のライフレビュー法による面接を12回実施する。面接は臨床心理学を専門とする心理学者が実施する。各回のテーマに合わせて幼少期からの自伝を語ってもらう。各回にホームワークを設定し、各回に定められたテーマでの心理教育と自分史の記録を作成してもらい、面接のない時間にも定期的に見直してもらう。また軽度抑うつ症状に関する生活上の留意点についてのHPやリーフレットを作成し面接以外の生活についても見直してもらう。毎回、前回のセッションの振り返りを行う。12回目には全体を振り返る。社会的支援群(以下SS群)ではLR群と同様の頻度、時間、回数で最近の話題に限定しての交流を行う。各回ではLR群と同様に軽度抑うつ症状についてのリーフレットを配布する。待機的統制条件群(以下WLC群)では、24週間待機した後でLR群と同様の面接を行う。 予備面接から介入の実施においては介入の手順についてはマニュアルを作成して実施することを盛り込む予定である。 効果評価については介入前(Pretest)、介入後(Posttest)、介入後1週間後と1ヶ月後(Follow up test)においてSPSSを用いて実施する。
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