2015 Fiscal Year Research-status Report
児童福祉施設における子どもの包括的発達支援モデルの構築
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15K04159
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
坪井 裕子 人間環境大学, 人間環境学部, 教授 (40421268)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 児童福祉施設 / 発達支援 / 心理教育 / 学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,社会的養護の環境にある子どもたちの心理的な危機状態からの回復と,健全な発達支援に焦点をあて,施設における対応や支援の工夫を検討するものである。最終的には児童福祉施設における包括的な支援モデルの構築を目的としている。その目的のもと,平成27年度に行った研究の成果は以下の通りである。
1.心理教育的アプローチに関する研究については継続的に関わりのある複数の児童養護施設の協力を得て,実際に子どもたちに対して心理教育プログラムを実施し,事前・事後の効果測定を質問紙調査にて行った。また,心理教育プログラムに関わる職員のミーティングにも参加し,職員の意識に関するデータも収集した。結果の一部を学会にて発表した。 については 2.施設入所児の学習支援に関する研究については(1)全国の児童養護施設を対象に,施設における学習や進路指導に関する体制および実態に関する質問紙調査を実施した。合計92施設からの回答を得ることができ,現在,その分析作業に入っている。(2)児童養護施設に入所している児童に対して,個別の心理教育アセスメント(WISC-Ⅳ,KABC-Ⅱなど)を実施し,その結果の分析を行っている。分析結果をもとに,今後,個別の学習支援プログラムの作成を行う予定である。(3)児童養護施設に入所している児童に対して,学校生活スキルに関する質問紙調査および,学校における対人葛藤場面における葛藤解決方略に関する半構造化面接を行っている。現在はデータの蓄積をしている段階である。ある程度,収集できたデータで,今後は分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた心理教育プログラムの作成と実施は、ほぼ予定通りに行うことができている。 学習支援に関する調査では、当初の計画は全国的な調査までは予定していなかったが、協力を得られる施設が見込まれることがわかったため、全国規模の調査に切り替えた。そのため予定より多くのデータを収集することができたが、多くなった分、分析にやや時間がかかっている。 個別の心理・教育アセスメントについては、子どもの状況により、実施に時間がかかる場合があり、慎重に行っている。 施設に入所している児童に対して、学校生活スキルに関する質問紙調査および、学校における対人葛藤場面における葛藤解決方略に関する半構造化面接は対象者が限られるため、一斉にデータを取ることができないが、随時実施して、データの蓄積を行っている。 以上のことから、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.心理教育的アプローチに関する研究については,効果測定の分析から心理教育プログラムの改善を行い,それを継続的して子どもたちに対して実施し,新たな効果測定データを収集する。プログラムに関わる職員の意識に関するデータも継続して収集する。 2.施設入所児の学習支援に関する研究については,(1)学習と進路に関する質問紙調査の回答を分析し成果を発表していく。(2)児童養護施設入所児の個別の心理教育アセスメントの分析結果をもとに,今後,個別の学習支援プログラムの作成を行う予定である。(3)児童養護施設児の学校生活スキルに関する質問紙調査および,学校における対人葛藤場面における葛藤解決方略に関する半構造化面接の結果を分析し,成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用費が生じた理由としては、購入予定であった心理検査用具を、大学公費で購入された検査用具を使用することによって代替したからである。また、データ入力等を極力、共同研究者自らが行い、研究補助のアルバイト代の支出が予定より少なくなったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初は平成29年度に予定していた国際学会での発表を、平成28年度に前倒しして、次年度使用額を旅費等に充てる予定である。
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