2015 Fiscal Year Research-status Report
アレキシサイミアに対する対人関係療法導入のためのアセスメントツール開発
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15K04162
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
馬場 天信 追手門学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00388216)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 愛着対象 / ストレス対象 / 接近回避 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づいて「身近な方との関係性に関する調査」として、2015年11月20日から11月27日の調査期間で一般成人を対象に調査を行った。データ回収数は505名(男性230名、女性275名)であり、対象者の年齢は30歳から49歳までであった。 調査では、アレキシサイミア傾向を測定するToronto Alexithymia Scale-20、愛着対象とストレスを感じる対象それぞれについて、人数、知り合ってからの期間、普段話をする頻度、気持ちの上で頼りにしている程度の評定について回答させ、各対象については自由記述でどういった特徴のある対象かを回答させた。 分析ではTAS-20について、小牧の日本人データの基準をもとに群わけを行い、High群(59点以上)が174名(34.5%)、Med群(39-58点)が283名(56%)、Low群(38点以下)が48名(9.5%)であった。次に、3群を独立変数として、各評定について分散分析を実施した結果、「普段、気持ちの上で頼りにしていると思える人数を回答してください」において有意な主効果が認められ、多重比較の結果Low群, Med群>High群であり、アレキシサイミア傾向の高い群の頼りにできる人数が他群と比較して少ないことが明らかとなった(Low群は3.65、Med群は2.64、High群は2.41)。また、ストレスを感じる対象に対して「その人と一緒にいることをどれくらい避けたい気持ちになるか主観的数値で回答してください(0~100)」において、主効果が有意であり、多重比較を行った結果、Low群,Med群<High群であり、アレキシサイミア傾向の者はストレスを感じる対象との接近を避けたい気持ちが有意に高いことが明らかとなった(Low群が80.46、Med群が79.42、High群が86.14)。相関分析においても類似の結果が認められた。また、それ以外の普段のコミュニケーション機会などには違いは認められなかった。なお、愛着対象およびストレス対象に関するテキストマイニング分析については現在分析途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成人対象の調査は実施済みであり、分析についても7割解析ずみであるが、愛着対象とストレス対象に対するテキストマイニングによる傾向分析を現在実施中である。また、大学生対象での調査も実施予定であったが、諸事情により前年度の実施は見送った。データ分析についてテキストマイニングによる分析がまだ途中段階にあり、この分析が済み次第、本年度に大学生での調査実施を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究については、愛着対象とストレス対象の属性におけるアレキシサイミア傾向者の傾向を分析し、それに基づいて、大学生と一般成人を対象にした調査を本年度実施予定である。なお、当初予定していた本年度の調査内容では対人信念や認知を抽出することを想定していたが、前年度の調査結果を踏まえると、愛着対象に関しては親密性を基盤にして自己開示をどれくらい行うか、その抵抗感がどれくらいあるかを中心に調査を実施した方がよいことが推測され、新たな調査内容を加えて、一部、調査項目を変更する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に一般成人と大学生での調査を二重に予定していたが、一般成人の結果をもとに大学生に適用できる設問項目内容を決定した方が、研究終了年度までの流れを考えると無駄が少ないと判断し、一般成人データの解析結果を優先し、大学生対象を次年度に変更したことにより調査実施謝金予定額が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画としては、一般成人対象のWeb調査1回分は研究計画と同様であるが、次年度予定していた大学生対象での調査予定内容に前年度持ち越し分を加えて、大学生での調査対象者数を増やして実施することに計画変更を行う。すなわち、大学生を対象とした調査謝金として使用する。
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