2017 Fiscal Year Annual Research Report
Computational approach to disabilities in Apraxia patients
Project/Area Number |
15K04195
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福澤 一吉 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00156762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板口 典弘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 訪問研究員 (50706637)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 失書 / 神経心理学 / 書字 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,失書患者における書字運動障害メカニズムの解明を目指して,書字運動の定量的な計測およびそれに基づいた理論的示唆を得ることを目的とした。この研究に関して,研究機関中に大きく分けて2つの成果を得た。 ひとつめは,書字運動における視覚的なフィードバックの役割である(Itaguchi, Fukuzawa et al. 2015, PLoS ONE; Itaguchi, Fukuzawa et al. 2017, PLoS ONE)。すなわち,私たちが繰り返して書くことによって学ぶ書字行動であるが,その運動的な記憶よりも,視覚的な情報の方が文字を形作る上では重要であることが示唆された。この発見は,失書患者における書字運動障害は,“運動記憶”の喪失というよりは,視覚的な記憶の喪失と捉えるほうが理にかなっていることを意味し,従来理論に対して大きな疑問を投げかける意義があった。同様の結果は,書き間違いの研究からも示唆された(Yamada, Fukuzawa et al. 2017, Proceedings of AAID)。高齢者および失語患者における研究成果は現在投稿準備中である。 ふたつめは,書字運動を学習する上では,運動の速度と精度のふたつのトレードオフは存在せず,それぞれが独立なパラメーターとして制御される可能性である。そのため,従来理論で考えられていたようなトレードオフは,運動制御そのものの特性ではなく,アテンションの問題に帰す可能性がある。この可能性は,失書患者に対するリハビリテーションを考える際には理論的に大きな意義がある。
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Research Products
(9 results)