2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04210
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
國分 麻里 筑波大学, 人間系, 准教授 (10566003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 ヒョン辰 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10591860)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 朝鮮 / 植民地期 / 児童・生徒 / 学校 / 百年史 / 学校での生活 / 戦時期 / 日常 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる2016年度の目的は、ソウルや釜山などの大都市を含めて多くの地域を回り、そこでの学校百年史を探し、植民地期の学校の様子を明らかにすることであった。この目的に対して、3つの成果を挙げることができる。 1点目は、韓国において学校百年史の収集が進んだことである。次の日程で資料調査を行い、百年史の中で植民地期朝鮮の学校の状況を示す個所の収集をしてきた。4月1日~4月4日:釜山、7月17日~7月20日:ソウル、8月12日~18日:釜山である。4月と8月に行った釜山では、釜山広域市立市民図書館・釜山広域市立中央図書館などで資料の収集を行った。7月のソウルでは、国会図書館や国立中央図書館において未収集の百年史の情報を入手するとともに、詳細に記述のある学校の地域についての市史や村史などの文献調査を行った。加えて、研究分担者と研究協力者の参加により、国内も含めて資料収集の幅が広がった。 2点目は、百年史に描かれた植民地期朝鮮における児童生徒の様子を創氏改名を中心に明らかにし、文章としてまとめることができたことである。科研1年目に九州大学の国際ワークショップ(History of education and language in late chosen and Colonial era Korea)で報告した創氏改名の内容を基に朝鮮半島・台湾から見た創氏改名を考える教材を作成し「東アジアに生きる市民の育成」(唐木清志編『「公民的資質」とは何か-社会科の過去・現在・未来を探る-』(2016東洋館出版社)に掲載した。 3点目は、昨年に引き続き、九州大学の国際ワークショップ(KOREAN EDUCATION AND LANGUAGE HISTORY WORKSHOP, 1875-1950)において報告したことである。筆者のそれまでの研究成果にここ数年の新しい知見を加えたものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期休暇でしか海外に資料調査に行くことが難しいために、2016年度の調査は4月初および夏休みの2回に集中した。しかし、研究分担者や協力者の活動もあり国内も含めて資料収集の幅が広がった。また、大都市である釜山での資料収集が順調に進んだことは、今後の調査活動の軸になると考えられ、ソウルでの収集状況と合わせて、韓国での資料調査は五合目まで来たということができる。 また、収集した資料を分析して1年目に報告した国際ワークショップの内容を文章にまとめることができたことや、過去の研究成果にここ数年の新しい知見を取り入れたことを国際ワークショップで報告できたことは大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目となる2017年度の調査では、今までのような大都市ではなく地方の百年史の収集を行なう予定である。この2年間でソウルや釜山といった大都市での資料収集はほぼ終了したと言ってよいため、2017年度は地方都市での収集を行なう。 地方都市については、すでに天安、大田、蔚山といった京畿道や忠清道の一部で収集をおこなっているが、江原道や全羅道ではまだ資料調査に着手していない。韓国では道と呼ばれる地域区分が6つあるが、資料調査ができたのは未だ4つに留まっている。ソウルや釜山から離れた地方都市での調査活動は、公共交通機関がなくそこに行くのが不便だったり、百年史の所蔵がなかったりして、なかなか調査が進まないことが予想されるが地道に行っていきたい。
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