2016 Fiscal Year Research-status Report
学習アーキテクチャとしての「記憶空間」の形成原理および問題改善の研究
Project/Area Number |
15K04226
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山名 淳 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (80240050)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アーキテクチャ / 記憶空間 / 学習 / 文化的記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度の研究成果に基づきつつ、研究協力者との連携のもとにカタストロフィーの記憶を継承する学習アーキテクチャの可能性および課題について検討を行った。その成果として、論文集『災害と厄災の記憶を伝える--教育学は何ができるか』(勁草書房、2017年1月)を刊行することができた。平成29年3月26日には、公開研究会「災害と厄災の記憶は伝えられるか-――教育学と哲学の間で考える」を同志社大学で開催し、論集成果の公表を行うと同時に、参加者との活発な議論を展開した。本論集に収められた山名の広島論は、ドイツ語における他の論集(Wigger, L./Platzer, B./Buenger, C.(Hrsg.): Nach Fukushima? Zur erziehungs- und bildungstheoretischen Reflexion atomarer Katastrophen.: Internationale Perspektiven.Julius Klinkhardt Verlag 2016)にも所収され、ドイツ語研究における教育学の議論に場においてもそうした成果を公にすることができた。なお、ドイツ教育史学会の学会誌に別の問題視角からの広島に関する専門論文の掲載が決定している。さらに、平成28年12月には、フランクフルト大学「メモリー・スタディーズ・プラットオーム」において「日本における文化記憶研究」というタイトルの報告を行い、ドイツの研究者たちとの議論を行った。本科研の2年目となる平成28年度は、総じて予想以上の成果を収めることができたといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を多く公にできた点については予想以上の進展をみせているといえる。カタストロフィーに関する社会の関心が高まるなかで、教育との関連においてこの問題をとらえられたことは大きい。ドイツにおける学習アーキテクチャについては引き続き調査を進める必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本科研を通じて、フランクフルト大学における優れた文化的記憶研究者であるアストリッド・エアル氏と研究交流を開始することができた。本科研の成果がドイツにおいても十分に意義のあることをエアル氏によって評価された。今後は、エアル氏の研究グループとの連携をさらに強め、積極的に研究成果を国外にも発信する。平成29年度は最終年度となるため、国内外の学会において総括的な成果公表を行いたい。
|
Causes of Carryover |
節約により次年度使用額が発生したので、次年度における国内外における成果報告にとって必要な経費に充てる計画を立てている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外(ドイツ)への渡航費用に使用する予定である。
|