2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Current Welfare Issues of Student Guidance
Project/Area Number |
15K04227
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
片山 紀子 京都教育大学, 大学院連合教職実践研究科, 教授 (60342169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 豊 京都産業大学, 文化学部, 教授 (30233670)
小松 貴弘 京都教育大学, 大学院連合教職実践研究科, 教授 (40305032)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 若年教員 / 生徒指導 / 福祉的課題 / チーム学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」を受け,教職大学院生徒指導力高度化コースに所属する筆者らは、これまで学校におけるチーム化に、生徒指導的観点からどのような課題があるのかについて,教員及び保護者を対象としたアンケート調査を行い,検証を行なった。 その結果、教員の経験年数によって、生徒指導をめぐる意識に違いがあることを、研究成果として提示することができた。すなわち、教職5年未満の教員とそれ以上の経験をもつ教員との間で,児童生徒理解や保護者理解など、生徒指導にかかる認識に大きなズレがあることを見出すことができたのである。こうした結果は、初心者ゆえの当然の結果ともいえるが,経験のある教員と若手教員の感じ方に,思いのほか大きな落差があったことになる。 その後、若手教員と熟練教員との間に、生活意識と生活様態、および成長期の経験に差があるのではないか、さらに言うと若手教員は熟練教員に比べて、生活のあり方全体が「貧困化」しているのではないかという仮説のもと、再度アンケート調査を実施した。しかし仮説とは異なって、結果はむしろ、若手教員の方が相対的に現在の仕事と生活に満足感を抱いていることを示唆するものであった。 子どもたちにとって、自分たちが剥奪的な状況に置かれていることを感受する感性そのものの育みが損なわれているあり方を、「剥奪感の剥奪」と言うが(土井・2016)、子どもたちばかりでなく、同様の事態は比較的若い世代の教員にも当てはまると筆者らは考えた。 このように、若手教員と経験のある教員の間にある認識の違いは,両者の間の「感受性そのものの違い」に起因し、この「感受性そのものの違い」が,「チームとしての学校」の阻害要因となっている可能性があること、およびこれらはこれまで見逃されてきた視点であることを指摘した。
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