2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04236
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
川本 龍一 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (50542908)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域指向性 / 尺度 / 診療科選択 / 学生教育 / 総合診療 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究では、これまでに約800名の医学部を対象として地域指向性尺度(本尺度)の含むアンケート調査を実施した。さらに西予市地域サテライトセンターと久万高原町地域サテライトセンターを舞台に専門職連携による地域医療実習を行い、地域医療実習前後における本尺度を含むアンケート調査と地域医療実習のポートフォリオを集積した。これらを基に地域指向性尺度を含む診療科選択に関する要因を開発した。すなわち、因子1:教育への参加(4項目)、因子2:仕事の安全性(5項目)、因子3:他者の助言(3項目)、因子4:ワークライフバランス(3項目)、因子5:技術や研究の専門性(4項目)、因子6:個人的理由(4項目)から構成される尺度である。これらを用いて、地域指向性がコンピテンシーとして最も必要とされる総合診療科の選択要因を明らかにした。将来の専攻科として総合診療科を第一選択することと関連する正の背景因子は、「高学年」、「浪人の経験」、「地域枠」、「お手本にしたい研修医の存在」、「就職先の得やすさ」、「気候や自然環境を重視」、「医療機関の親からの継承」、「へき地勤務を希望」であった。一方、「中高一貫高校卒業」、「親族に医師の存在」、「研究が行える」、「収入重視」は負の関連要因であった。さらに本尺度を活用し、男女における診療科選択の差異と要因を明らかにした。すなわち、女性においてのみ、一般内科/総合診療科/家庭医療科選択には「技術や研究の専門性」と「仕事の安全性」が高く、産婦人科選択とは「技術や研究の専門性」、精神科選択とは「仕事の安全性」が低く関係していた。男性においてのみ、小児科選択には「教育への参加」と「個人的理由」が高く、「仕事の安全性」とは低く関係していた。男女共に、仕事をコントロールできる診療科選択には「ワークライフバランス」が高く関係していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究では、これまでに約800名の医学部を対象として地域指向性尺度(本尺度)を含むアンケート調査を実施した。さらに西予市地域サテライトセンターと久万高原町地域サテライトセンターを舞台に専門職連携による地域医療実習を行い、地域医療実習前後における本尺度を含むアンケート調査と地域医療実習のポートフォリオを集積した。これらを基に地域指向性尺度を含む診療科選択に関する要因を開発し、地域指向性がコンピテンシーとして最も必要とされる総合診療科の選択要因を明らかにした。さらに本尺度を活用して男女における診療科選択の差異と要因を明らかにし、その有用性と精度の検証を行った。以上より、研究はおおむね順調に進展しており、予定の成果はあげていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き尺度の検証と改良を継続していく予定である。 ・地域医療実習に伴い地域指向性尺度はどのように変化したかについては、現在解析中である。
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Causes of Carryover |
これまでに地域指向性尺度を含むアンケート調査を実施した。さらに専門職連携による地域医療実習を行い、地域医療実習前後における本尺度を含むアンケート調査と地域医療実習のポートフォリオを集積した。今後も引き続き尺度の検証と改良を継続していく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ分析のためのソフト費用などに使用予定である。
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