2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the situation of the theory of the risponsibility for the Asia-Pacific war in the postwar pedagogy in Japan
Project/Area Number |
15K04242
|
Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 勉 八戸工業大学, 工学部, 教授 (30382584)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 広美 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (20205959)
一盛 真 大東文化大学, 文学部, 教授 (90324996)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 戦争責任 / 植民地支配責任 / 戦後責任 / アジア認識 / 優生学 / マイノリティー問題 / 差別 / 正義(論) |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の松浦は、次の2つの課題を追究した。第1は、日本の未決の戦争責任と植民地支配責任と向きあわなかった、教育を含めた「戦後民主主義」を問い直す作業の一環として、福沢諭吉のアジア認識と日本の植民地教育史研究の課題を検討した。第2は、2017年の2月以来政治の舞台に登場した「教育勅語」をめぐる問題とのかかわりで、「学徒出陣」と「学徒動員」の問題を追究した。とくに教育の戦争責任問題とのかかわりでは、文部省『学制七十年史』(1954年)の戦前編を執筆した海後宗臣(東京大学)が、文部省の学徒動員政策を「苦衷」の選択として評価している問題に批判的に論究した。 分担研究者の佐藤広美は、第1に、前年度につづいて戦争責任と植民地支配責任を放置してきた日本社会で、企業と政府が作り出した「水俣病事件」をめぐって、教育における、子どもを含めた被害者に対する酷薄な差別の問題と、その差別からの解放の展望を、地域の学校教員と市民らがつくる運動と理論の展開のなかで追求した。第2は、生活綴方教師の村山俊太郎(1905~48)の戦中と戦後を、正義論の視点から追究した。 同一盛真は、第1に、2016年7月に惹き起こされた「相模原事件」を教育学の視座から検証・追究し、この「事件」をめぐる政府・行政の対応とメテディアの報道のなかにある優生学的な人間観と、その形成の基盤となっている公教育の在り方を分析的に検討した。第2は、日本におけるマイノリティー問題の課題を、敗戦とともに戦争の記憶から喪失される、大陸からの引揚者の「植民者としての民族の意識」がどのように形成されたのかを、「国定教科書」の記述を通して検討した。 なお、松浦と一盛は、異なる視角から戦前・戦中・戦後のハンセン病児問題を追究した清水寛編『ハンセン病児問題史研究』(2016年)を検討し、それぞれの書評と図書紹介を学会誌に発表・寄稿した。
|
Research Products
(9 results)