2016 Fiscal Year Research-status Report
欧米大学間における女性の教育研究交流に関する歴史的研究
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15K04273
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
香川 せつ子 西九州大学, 子ども学部, 教授 (00185711)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トランスナショナル / 女性史 / イギリス / アメリカ合衆国 / 高等教育 / 国際大学女性連盟 / ジェンダー / 留学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、19世紀末から20世紀初頭における大学の国際化を、ジェンダーの視点から考察することである。具体的には、イギリスとアメリカ合衆国との間での、女性大学人や女子学生の国境を越えた移動や交流に焦点をあて検討を進めてきた。女性の高等教育機関への進出が制限されたこの時期に、より自由な学問研究を求めて多くの女性が海外に移住した。アメリカの女子大学の卒業生たちがオックスブリッジへ留学した事例や、イギリスの大学出身の女性たちがアメリカの女子大学に研究職を得る事例を、これまでにイギリス側の資料から把握している。 本年度は、アメリカ側の資料から検討したいと考え、平成28年9月にペンシルバニア州ブリンマー大学で文献調査を実施した。ブリンマー大学はヨーロッパの大学をモデルに、男子学生と同等の高等教育をめざして設立され、初代学監ケアリ・トマスはケンブリッジ大学ガ―トン・カレッジを訪問し、運営上の示唆を得ている。また同カレッジの卒業シャーロット・スコットはブリンマー大学教授となり、アメリカ数学協会会長として活躍した。津田梅子の留学先でもある同大学では、日本人女子学生受け入れのための奨学金制度も創設されるなど、英・米・日を結ぶ歴史的な要のひとつとなっている。こうした事実に関連する資料を閲覧した。 本年度のもう一つの実績は、前年度に実施した国際シンポジウムにおけるジョイス・グッドマン氏(ウィンチェスター大学名誉教授)の基調講演を翻訳し公刊したことである。同教授の二回にわたる講演は、ジェンダーとトランスナショナルという視点から、イギリス、日本、アメリカの女性教師や女性大学人の活動を、様々な理論枠組みから分析しており、本テーマを追求するうえで極めて価値の高いものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度開催した二回の国際シンポジウムの記録を、グッドマン教授による基調講演の全訳および4人のコメンテータの寄稿という形で公刊することができた。アメリカ合衆国とイギリスとの交渉関係をブリンマー大学に焦点化して追求するなかで、アメリカ、イギリスと日本、三国間の女子高等教育関係者の移動と交流の一端を解明することができた。ブリンマー大学では、イギリスからの入国者だけでなく、日本からの女子留学生に関する史料も閲覧した。しかし先行研究や資料の整理が不十分であり、学会等で報告するまでには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成29年度は、英・米・日の大学間における女性の移動や交流と影響関係を掘り下げるため、イギリスおよび日本国内での文献調査を実施して、未入手の資料を収集したい。また、11月にウィンチェスター大学で開催されるイギリス教育史学会に参加し、グッドマン教授から研究上の助言を得たい。三年間の研究の成果を論文にまとめ報告したい。
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Causes of Carryover |
平成28年度に計画していた図書資料の購入手続きが遅れ、物品費の一部が未使用金となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度未使用分の助成金は、平成29年度の図書資料購入の費用に充てる。
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Research Products
(5 results)