2016 Fiscal Year Research-status Report
福祉国家型教育財政構想の制度化の歴史的展開と現代立憲主義による正当化に関する研究
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15K04285
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
世取山 洋介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90262419)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子どもの権利 / 人権秩序 / 福祉国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実績は大きく2つに分かれる。第1は、子どもの権利の歴史的形成に焦点を当て、子どもの権利というコンセプトが現実政治においてはじめて登場した19世紀中盤から後半以降におけるこのコンセプトに内在していた財産権至上主義的人権秩序の組み換えという契機が、1世紀後の20世紀後半以降に再登場する子どもの権利というコンセプトにおいてどのようにして失われてきたのかを検討した。19世紀後半における議論としては、Marxに焦点を当て、彼の財産権批判が、彼の「人間固有の力」および人間の本質としての「類的存在」といかなる関係に立ち、さらに彼の人間の全面的発達という議論といかなる関係の立つのかを検討した。そして、20世紀後半に再登場する子どもの権利論が、財産権至上主義的人権秩序への黙示的な帰依を内在化させていたがゆえに、19世紀後半に登場した、子どもの不完全な基本的権利に対応する義務を国に発生させるという構想を、継承できなくなったことを明らかにした。あわせて、1960年代以降登場する日本の子どもの権利論が、19世紀後半における議論の特徴をどのように継承発展させてきたのかも明らかにした。当初はあまりに基礎的な作業ゆえ、今後の法解釈論の作業にとってどれくらい有益なのかが不明であったが、財産権と子どもの教育を受ける権利の緊張関係を意識して初めて学説史を検討することができることを明らかにしえた。法解釈論を超えて、政治哲学の領域に分け入らなくてはならなくなったために、相当な時間を要することになった。成果は論文として来年度に公表することになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福祉国家的財政の基礎となる人権論について、子どもの権利という観点からの歴史的展開を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、福祉国家型教育財政の基礎となる人権論に直截に切り込んでいく予定である。
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Research Products
(1 results)