2016 Fiscal Year Research-status Report
少年と高齢者の万引き予防策の実施・検証―社会的紐帯とローカルコードに着目して―
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15K04286
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
久保田 真功 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (00401795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白松 賢 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (10299331)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非行 / セルフコントロール / 万引き / 学校生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般の中学生を対象とした質問紙調査をもとに、セルフコントロール(以下、SC)の関連要因について検討を行った。SCは「犯罪の一般理論」(Gottfredson & Hirschi 1990)において、非行や犯罪の主たる原因であると考えられている概念である(SCが低い場合に、非行や犯罪に手を染めるリスクが高まる)。 分析の方法としては、SCが高い者と低い者とを、家族や友人との関係、さらには学校生活の側面から比較した。とりわけ着目したのは学校生活である。Gottfredson & Hirschi(1990)は、家庭と比べて学校は子どもたちの社会化機関としてのいくつかの利点があることを指摘しているからである。 その結果、①家族との関係が良好である場合や、保護者が子どもを監視・監督している場合に、子どもたちのSCが高まる可能性があること、②子どもたちが学校の決まりに自覚的であり、それらを遵守している場合や、子どもたちが特別活動に積極的に取り組んでいる場合に、SCが高まる可能性があること、などが明らかとなった。 また、我々は、具体的な万引き対策として「買い物をしながらできる見守り活動」(以下、「見守り活動」)を2014年11月に施行的に実施していた。その結果について分析したところ、ボランティアの「見守り活動」への参加状況については、①普段から店舗を利用している人の参加頻度が高く、「見守り活動」の説明会参加者およびコーディネータ担当者の参加率が高いこと、②ボランティアには2つの店舗で「見守り活動」に協力してもらったが、いずれの店舗についても5名程度の参加頻度が高く、半数程度が1、2回の参加にとどまっていること、③大学生および高齢者の場合、普段からボランティア活動に参加している人ほど、参加頻度が高いこと、などが明らかとなった。 さらに、生徒指導担当の教員にインタビュー調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度の目的として掲げていたことが、おおむね達成されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生徒指導担当の教員に加えて、万引きGメン(保安員)を対象としたインタビュー調査も実施し、得られたデータを分析する。その結果と、中高生を対象とした質問紙調査によって得られた結果とを踏まえ、学校と学校外関連機関との連携を踏まえた、包括的な非行対策を提案する。 また、研究によって得られた成果を論文等にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外出張を次年度以降に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に資料収集等を目的とした海外出張に行く予定。
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Research Products
(3 results)