2015 Fiscal Year Research-status Report
「9単位社会教育主事」養成に果たす社会教育主事講習の意義と今後の課題に関する研究
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15K04287
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅野 秀重 金沢大学, 地域連携推進センター, 教授 (90334789)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 9単位社会教育主事 / 社会教育主事講習 / 社会教育職員に期待される「力」 / 社会教育という仕事 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 公民館等の社会教育施設の職員には,地域住民に,学習活動を通じて,地域を,見る,観る,覧る,診る眼や判断力を育てる役割が期待されている。そうした職員を養成する重要な機会の一つが「社会教育主事講習」であり,この研究では,講習を通じて養成される,「9単位社会教育主事」(浅野提起)としての社会教育職員が,講習で得た学びの成果(社会教育的視点)をその後の職務等でどのように豊かに発展させていったかや講習の課題,講習への期待などを調査やヒアリング等を通じて明らかにすることを目的としている。 2 昭和59年度以降の金沢大学実施の社会教育主事講習受講者650人に郵送法を用い,選択的回答11問,記述的回答9問で構成した質問紙を送付し,265人(回収率40.8%)から回答を得た。 3「社会教育職員に期待される『力』は,何だと思うか?」という問いには,地域課題の発見・分析力(68.3%),学びの場や機会の企画力(57.7%),地域住民とのコミュニケート力(52.8%),などが上位となった。 4 調査では,「社会教育に関する仕事をどう思うか?」という問いも設けた。「地域住民の学習意識の向上に貢献する仕事」への回答が上位を占めるのではないかと予想していたが,これに対しては,142人(53.6%)という結果で必ずしも上位ではなく,「地域住民のつながりづくりに寄与している仕事」(197人 74.3%),「地域づくり・まちづくり・地域活性化に寄与する仕事」(177人 66.8%)との回答が上位を占め,社会教育と「つながり」や「地域づくり」との牽連性を示す結果であった。 5 なお,ヒアリングに応じることが可能との回答者は,114人(43%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 回答者全員の選択的回答11問及び記述的回答9問に係る情報すべての入力を終え,単純集計するとともに現在クロス集計,統計的確からしさなどの処理に取り組んでいる。 2 併せて,記述的回答を丁寧に分析するとともに,社会教育職員としての従事歴,受講後の職務の異動状況及びヒアリング対象者となることを「諾」とした回答等を総合的に考慮しながら,ヒアリング対象者の絞り込みに向けた作業を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1 平成28年度は,9単位社会教育主事の資格取得後の職の異動等を経ながら,講習の受講が自己の資質形成,力量形成にいかなる影響を与えたかのケーススタディとしての調査対象者を選定し,社会教育主事講習の果たす役割,社会教育的視点に立脚した業務の経験,今後の講習内容の在り方に関するヒアリング調査を行うこととしている。 2 社会教育は,主として成人を対象にした営みであり,大人育て,大人育ちの領域ととらえることができ,その重要な推進者・支援者が「学びとまちづくりのコラボレーター」的存在(浅野提起)としての社会教育職員であることに鑑み,「社会教育主事講習」及び「9単位社会教育主事」を対象としたこの研究を通じて,今後のまちづくり・地方創生にいささかなりとも貢献するという意図で研究を推進していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,①計画では,昭和51年以降の石川県内からの主事講習修了者1,018人を対象として調査票の送付を予定していたが,昭和51年から昭和58年度修了者までは,生年月日,氏名は把握できたものの,残念ながら住所を記した書類がなく,対象者を昭和59年度以降の修了者650人に限定せざるを得ず,調査票送付のための通信費としての郵送料予定額に残額が生じたこと。 ② 回答として寄せられた情報の入力作業が,想定した時間以上に円滑に進み,学生アルバイトへの謝金支払い予定額に残額が生じたこと,が挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1 平成28年度は,ヒアリング対象者への学内規定に基づく謝金及び必要に応じた旅費の支払いとヒアリングのテープ起こし等に平成27年度残額を充当する。 2 研究成果の発表の場としての学会参加の機会を2回から3回に増やすなどして適正な執行に努めることとしたい。
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Research Products
(2 results)