2016 Fiscal Year Research-status Report
ドイツにおける「研究公正システム」の構築と展開に関する思想的・制度的研究
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15K04288
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤井 基貴 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80512532)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 研究倫理 / ドイツ / 自律的思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
科学技術・学術研究の高度化・複雑化に伴い、研究不正行為(Research Misconduct)の発生予防及び対応策が重要な社会的課題となっている。世界各国では政府機関、学術団体、研究費配分機関、研究機関が中心となり、それぞれの国情に即した「国家研究公正システム」(National Research Integrity System:以下、NRIS)の整備が進められている。本研究の目的は、ドイツを中心として、欧州各国のNRISに関する報告書及び研究論文を整理検討するとともに、現地の関連機関等で聞き取り調査を行って、各国のシステムを特徴づける機能項目(研究不正の定義、法整備、内部告発保護制度など)を明らかにするとともに、我が国の情勢に応じたNRIS構築に資する知見を得ることにある。当該年度においては、2013年にデンマーク科学技術イノベーション庁(The Danish Agency for Science, Technology and Innovation)が発表した報告書「研究不正行為の事例対応のための国家システム」(National Systems for handling cases of research misconduct)の検討を行って、欧州各国のNIRSの特徴及び課題について整理検討した。また、ドイツの教育制度の根幹をなす「自律的思考」概念に注目し、その原理や教育実践についても分析を進めた。聞き取り調査にあたっては、国内では名古屋大学、東京大学等、ドイツではマインツ大学、ベルリン・フンボルト大学、ドイツ大学長会議等を訪問し、情報収集及び関係者との意見交換等を行った。これらの成果については研究論文、報告書等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度からの持ち越しとなった、ドイツでの訪問調査が実施されたことによって、最新の情報収集及び関係者への聞き取り調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究倫理に関する国内の取組事例について分析を行うとともに、ドイツの研究者や関係者とも連携して、研究倫理に関する教育プログラムの分析及び開発を進める予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に予定されていたドイツでの調査が今年度に繰り越され、繰り越し金が相当額あったことと、ドイツでの調査をベルリンとボンに絞って短期化し、本来予定されていたオーストリア等での調査を翌年に繰り越したこと、データ分析のためのPC機材の購入を先送りしたことにより、繰り越し分が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内外での訪問調査を計画的に実施するとともに、データ分析のためのPC機材の購入を行う。
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